国民と新型コロナウイルスとの戦いは1年以上が経過し、今もって混乱の渦中─。為政者たちが対コロナに無為無策だった結果が招いた事態である。減っては増えてを繰り返す感染者数、逼迫する医療体制は誰のせいなのか。菅総理を筆頭とした「なんもしない人」を厳しく査定する!
1年前、当時の安倍晋三総理(66)が「緊急事態宣言」を告げた時、ウイルスとの戦いがここまで長期化するとは誰が想像したか。この4月1日からは、全国の都道府県で緊急事態宣言に準ずる「まん延防止等重点措置」の適用が相次ぐ、新たなフェーズに突入。コロナ禍にあえぐ日本の現在を、衆議院議員を14年から2期務めた若狭勝氏が憂える。
「この1年を振り返ると、何より国として、国産のワクチン製造をもっと製薬会社に働きかけなかったことが最大の失策だったと思っています」
日本政府は昨年6月、コロナ対策に向けた20年度補正予算案を可決。国内5社を含む6社の製薬メーカーへ、総額900億円超の助成金が支払われた。が、現状、国産ワクチンは承認には至っていない。在米の政治ライターが若狭氏の指摘を補足する。
「アメリカでは昨年6月の段階で『ワープ・スピード作戦』と称し、ワクチンの早期研究・製造などに約1兆円の予算を計上しています。日本政府との危機感の差は歴然です」
先進国に新興国を加えたG20でも、日本のワクチン接種率は最下位。安倍氏からコロナ対策を引き継いだ菅義偉(72)政権は、世界のワクチン争奪戦で惨敗を喫した格好だ。
「緊急事態宣言で感染が終息に向かう、という希望的観測があったのでしょう。国内生産が期待できないようでは、仮に日本独自の変異株が出てきても、機動的に対策を打てない。現在はいわば『ウイルス戦争』の時代。本来なら1年前に、軍事費の一部を振り分けてでも、国内製薬会社に一気に資金提供をすべきでした。残念ながら、そういう展望がまったくなかった」(若狭氏)
ワクチン接種を巡っては、河野太郎行政改革相(58)が、4月11日にNHKの討論番組で「全国平均で3分の2の医療従事者が接種を終えた」と発言した。一方で残りの医療従事者のみならず、まだ接種していない層への具体的な接種時期のアナウンスは、なかなか聞こえてこない。
その理由を医療ジャーナリストが解説する。
「日本もワクチン提供を受ける世界一のメガファーマであるファイザー社は、出荷されたワクチンを飛行機や冷凍輸送車の温度まで一括管理できる独自のロジスティックシステムを構築しています。日本のどこにどれだけワクチンが輸送されるかを、瞬時に把握できるんです。それなのに『ワクチンは確保したが、いつ来るかは交渉による』と言い続ける菅総理や河野氏は、日本向けの在庫がないことを知りながら、国民にウソをついているのと同義です」
事実なら国民への背信にほかならないが、それを裏付けるこんな声も。「コロナ病棟」として国から指定を受けた、都内大学病院に勤務する看護師が言う。
「3分の2終了と言っても、まるで実感がない。一部の国公立の病院に限った話でしょう。正直、うちを含め大半の病院にはワクチンがいつ届くかの通知すらない。一般国民の接種なんてはるか先の話ですよ」
さらに、医療現場は逼迫どころか、すでに崩壊が始まっていて、ワクチンの確保・接種以前の「PCR検査」すらままならない惨状である、とも続けるのだ。