最低賃金より低い!? ウーバー配達員「報酬3割カット」の大苦境に懸念の声

 新型コロナウイルスの感染拡大で需要が高まるフードデリバリー大手ウーバーイーツは、今年中に全国47都道府県に対応エリアを広げるなど絶好調だが、同サービスを展開するウーバーイーツジャパンが3月から京都・福岡など一部エリアでの配達員の報酬を約3割下げていたことが一部報道により明らかとなり、利用者からは配達員を心配する声が相次いでいる。

「ウーバーイーツの配達員の報酬には基本的に、受取料金と受渡料金、距離料金、そしてオプションのクエスト達成報酬があり、エリアや時間帯などによっても異なりますが、だいたい1回の配達で500円くらいが平均的な報酬額と言われています。それが約3割減となれば、1回の配達報酬が350円ほどになってしまうので、配達員としてはかなりの大苦境でしょうね」(ITジャーナリスト)

 突然とも言える報酬の値下げにネット上では、《個人契約で事故の責任もとらない、人が増えたら賃金下げる。組織として完全に使い捨て扱いですね》《報酬を3割もカットされた配達員は生活のため無理な配達、つまり無謀運転をするようになってしまいます》《理由もなく報酬を下げて、配達員がこぞって出前館に移籍しないか心配》などウーバーイーツジャパンへの批判と配達員を心配するコメントが多く見られた。

「かつて大手宅配業者の配達員が、労働環境の悪化から荷物を放り投げるなどのトラブルが発生して問題となったことがありましたが、このままではウーバーイーツ配達員も収入を確保するためには配達量を増やさざるを得なくなり、交通ルールを守らなかったり、料理をぞんざいに扱ったりと、何かとトラブルが増える可能性が高くなるのでは…。3月3日にはウーバーイーツジャパンや出前館など13社が『日本フードデリバリーサービス協会』を発足させ、『配達における交通ルールの順守』や『商品の衛生・安全管理』などを教育していくと発表したばかり。今回の報酬下落のニュースには、配達員の労働組合ウーバーイーツユニオンからも強い反発の声があがっていて、『最低賃金を大幅に下回っている』との指摘もあります。何より、運営側と配達員の間に生じた溝が、サービスの質の低下を招かなければいいのですが…」(前出・ITジャーナリスト)

 ウーバーイーツ配達員によるマナーはしばしば問題となっているが、今後はさらにトラブルが続出してしまうのかもしれない。

(小林洋三)

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