消防団員報酬の「私的流用」相次ぐ!団員の通帳・カードを幹部が預かって…

 消防団の報酬を、団員個人ではなく分団が受け取り、不正に管理している問題で、総務省消防庁が昨年4月に是正するよう通知していたが、いまだ団員に直接支払っている自治体は約70%にとどまっているという。今年に入ってからも報酬が懇親会に利用されたり、団長が私的に流用するケースが相次いでおり、ネット上でもこの事態に厳しい声が相次いでいる。

「消防庁は報酬を団員個人が受け取るように働きかけていますが、6月22日には東京都町田市で消防団の3つの部で、団員の通帳やキャッシュカード、暗証番号を幹部が預かり、市が団員個人に支給した報酬や手当を管理していたと発表。また、7月4日には新潟県長岡市の消防団の分団長が、2011年4月から22年5月までの11年にわたり分団員に支払うべき報酬と出勤報酬などを無断で私的に流用していたとして免職処分となるなど、次々と問題が発覚しているのです」(社会部記者)

 消防団員に直接報酬が支払われない理由には消防団の長年の慣行もあり、報酬は団長などが管理して1円ももらったことがない団員もいるという。鈴木俊一財務・金融担当相は「預金通帳などが譲渡されることはマネーロンダリングに利用される恐れがある」と指摘し、消防団に不正管理を是正するよう求めている。

「いまだ団員に直接報酬を支払う自治体が70%という状況に、ネット上では《消防団は昔ながらの体質が改善されていない。団員個人の報酬をプールしたり、通帳やキャッシュカードを管理するのは犯罪だし、厳しく取り締まるべき》《うちの地方では強制的に消防団に入らされ、報酬をもらえないどころから月会費まで取られていた。本当に悪しき慣習だと思う》など厳しい意見が相次いでいます。総務省消防庁によると、21年4月時点の全国の団員数は80万4877人で、1956年には180万人を超える規模だったのが半分以下にまで減少しています。これは若年層の入団が減っているのが原因で、報酬体系が不透明であることも若年層の消防団離れの大きな原因のひとつと言われています」(フリージャーナリスト)

 若者たちが活躍できる消防団を作るためにも、報酬の不正管理は無くさなければならない問題だろう。

(小林洋三)

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