佐々木朗希の“本拠地デビュー”が先送りに、シート打撃で着目すべき点とは?

 令和の怪物・佐々木朗希の実戦デビューが遠のいた。当初、3月5日からの埼玉西武との本拠地2連戦が示唆されていたが、千葉ロッテ・井口資仁監督は「シート打撃で良ければ、静岡(9〜11日の東北楽天戦)の帰りくらいに」と、登板予定日を“修正”。1週間ほど先送りとなったが、これは前向きな変更でもあるようだ。

「昨季は吉井理人投手コーチのもとで、投球フォームの安定と基礎体力作りに重点を置いた指導が続けられました。『今のままでも先発で5、6回なら無失点も』と評価していますが…」(球界関係者)

 首脳陣がもっとも懸念しているのは、“回復力”だ。先発ローテーション入りさせ、中6日などのインターバルで続けて投げることができるのかどうかを心配していた。

「登板し、その疲れを一定の期間で取り、回復できるのかどうか…。当初は5日か6日に2イニングくらいを投げさせ、様子を見るみるつもりでした」(前出・球界関係者)

 その初登板をシート打撃に変更し、回復具合を見ることにしたのだ。

 登板すれば、それなりの結果を出すことはわかっている。また、開幕戦までの約2週間、他投手にも調整の登板機会を与えなければならない。そうした事情もあって、5日のシート打撃登板後、どこまで回復できるのかを見る方針に変更したのだという。

「もし、首脳陣が投げさせても大丈夫と思うレベルまで回復しなければ、実戦登板を先送りにするか、二軍降格も視野に入れて検討することになるでしょう」(前出・球界関係者)

 また、「お披露目は本拠地で」という思いも首脳陣にはあるそうだ。

 佐々木の魅力は、なんといっても160キロを超す快速球だ。ファンもバックスクリーンに表示されるスピードガン数値に目をやりながらの観戦になるだろう。ただ、怪物と呼ばれてもメンタル的にはオトナになりきれていない部分もある。初の実戦登板、対戦チームの有名選手と対峙したとき、想定外の緊張に襲われるかもしれない。この点をさして、「ヘンに力んだときに160キロ超えの直球が出て、まだ完成していない腕や下半身の筋肉に負担をかけている」との声も周囲から聞かれた。

 シート打撃での登板を挟むのは、ヘンな緊張感を和らぐ狙いもあるようだ。佐々木の本拠地での初登板で着目されるのは、シート打撃の結果ではなく、翌日以降の回復力だ。

(スポーツライター・飯山満)

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