上場わずか2年で破産申請、「打倒スタバ」を掲げた中国珈琲チェーンの落日

 不正会計問題が発覚し、米ナスダック市場から上場廃止となっていた中国のコーヒーチェーン「瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)」が2月7日までに破産申請をおこなったと発表した。“中国版スタバ”とまで呼ばれたラッキンコーヒーが急降下した原因はどこにあったのだろうか。

「2018年に北京に第1号店をオープンさせると“打倒スタバ”を掲げ1年足らずで店舗数を2000店にまで拡大したラッキンコーヒーは、19年には4500店舗を達成して中国国内のスタバの店舗数を抜いてナスダックに上場。絵に書いたようなチャイニーズドリームを驀進していました。しかし、昨年4月に19年第2四半期から第4四半期にかけて22億元(約339億円)の売上を水増ししていたことが発覚し、ナスダックでの売買が停止されていたんです」(ITジャーナリスト)

 ラッキンコーヒーはスマホアプリで注文・支払いを完結させ、基本的にはテイクアウトやデリバリーで商品を受取る仕組みになっている。そのため、ほとんどは小規模な持ち帰り型店舗か配達専門の店舗であり、そのおかげで1年で2000店という店舗の急拡大も可能だったわけだ。

「スタバの、自宅でも勤務先でもない『サードプレース』としてくつろぎの場所を提供する戦略とは真逆の展開をしたわけです。これについては、スタバに追いつくための最高のアイデアでした。しかし、わずか1年で2000店という異常な急拡大や高すぎる目標設定などがアダとなって、損失を埋めるために不正会計に手を染めてしまった。とはいえ、こうした無茶な計画をぶち上げて上場し、不正会計で上場廃止になるケースは中国企業の“あるある”。11年〜12年にかけては、なんと50社以上の中国企業がアメリカの証券取引所を上場廃止となり、米証券取引委員会が中国企業に気をつけるよう投資家に呼びかける事態となっているのです。ラッキンコーヒーも、アイデアと戦略は素晴らしいものがあっただけに残念です」(経済評論家)

 今後、ラッキンコーヒーは連邦破産法15条が適用され、業務を続けながら財務改善や債務の整理を図っていくという。

(小林洋三)

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