バイデン大統領誕生で韓国の“三枚舌外交”に異変!? 拉致問題に進展の兆しも…

 1月20日、ワシントンでは民主党のジョー・バイデン氏の第46代大統領就任式が行われた。バイデン政権発足により、アメリカの対北朝鮮外交は大きく変化しそうだ。22日、サキ大統領補佐官は、北朝鮮の核ミサイル開発を深刻な脅威と認識した上で、日韓と協議しながら「北朝鮮政策の“見直し”を始める」と表明した。

 拉致問題を抱える日本では、アメリカの対北朝鮮政策の方針転換に注目が集まっているが、どのように見直されるのだろうか。

「トランプ前政権とは異なりバイデン新政権では、北朝鮮に対して強硬路線に舵を切ることが予想されます。なぜなら、歴史的に見ても共和党から民主党に政権が移ったときは、前政権と真逆の政策を基本的に進めてきたからです。現在、すでにバイデン大統領は、トランプ政権が進めてきたメキシコ国境の『壁』の建設取り止めや、イスラム圏諸国からの入国規制の中止、世界保健機関(WHO)脱退の撤回などを決定しました。それと同様に、トランプ政権では北朝鮮に対して融和路線をとり、結果的に核開発を加速させてしまったという失敗があるため、バイデン大統領は同じ轍は踏まず圧力をかけていくでしょう」(国際政治ジャーナリスト、以下同)

 アメリカの北朝鮮政策が強硬路線に舵を切ることによって、最も頭を悩ませているのは意外な国だった。

「バイデン大統領の就任を受けて、21日に韓国の文在寅大統領は『韓国も共に行く!』と祝電を送りましたが、本音では頭を抱えていることでしょう。これまで文政権は、経済面では中国、安全保障面ではアメリカ、国内に向けては北朝鮮との融和を訴えるという、二枚舌ならぬ三枚舌外交でのらりくらりとやってきましたが、最も悲願としているのは朝鮮半島の南北統一。文大統領はもともと左派系の活動家出身なため、社会主義体制を維持する北朝鮮にシンパシーを感じているともいわれています。北朝鮮に対して融和政策をとるトランプ政権下では、南北統一を訴えやすい雰囲気でしたが、バイデン政権下ではそうもいきません。韓国に対して、『北朝鮮を選ぶのか、アメリカを選ぶのか。アメリカの敵なのか、味方なのか』と究極の選択を迫る状況も予想されます」

 このようにバイデン政権発足は、韓国と北朝鮮にとっては不都合だが、一方で日本にとっては好都合とする見方もある。

「まず、アメリカが北朝鮮への圧力を強めれば、拉致問題が進展する可能性もあります。なぜなら、日朝首脳会談が初めて実現し、拉致被害者5人が帰国できたのは2002年のことでしたが、当時はブッシュ政権が北朝鮮に対して『テロ支援国家』と非難し、先制攻撃に言及するなど圧力を強めた時期だったからです。以降、拉致問題に目立った進展が見られないため、アメリカの強硬路線が拉致問題解決の突破口になるかもしれません。一方で、韓国の文大統領もこれまでの政権にならって反日路線を突き進んでいます。昨年にかけて、徴用工問題や慰安婦問題を巡り、韓国の裁判所では国際法に違反する形で日本側に高額な賠償を求めるトンデモ判決を次々と下しました。現在、まだ日本は静観している状況ですが、バイデン大統領が韓国に不信感を募らせれば、アメリカのお墨付きを得て日本も経済制裁などを実施しやすくなります。こうしたことから、日朝問題だけでなく日韓問題も一気に動き出すことも考えられます」

 バイデン政権の誕生によって、“アジアの火薬庫”と言われる朝鮮半島情勢にどのような影響が出るのか。動向から目が離せない。

(道明寺さとし)

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