新型コロナの新規感染者数が毎日のようにニュース速報で発表されるなど、その推移に注目が集まっている。東京のように人口密度が高いエリアほど、感染リスクが高いのは理解できるが、自治体ごとの累計感染者数と人口を照らし合わせると驚愕の事実が浮かび上がった(ランキングは文末に掲載)。
緊急事態宣言の対象地域が当初の1都3県から大阪・兵庫・愛知など7府県の追加が決定。とはいえ、昨年4〜5月の前回の宣言中ほど自粛生活は徹底されておらず、新規感染者の数自体も1ケタ多い水準で推移を続けている。
ちなみに各地域の新規や累計の感染者数は毎日発表されているが、公表されていないのが感染者比率。自分や家族が暮らす地域の感染リスクがどの程度あるのか知りたい人は多いだろう。そこで各自治体が発表する最新の人口数と本稿執筆時の1月12日時点で公表されている累計感染者数をもとに、自治体別の“感染率”を独自に試算してみた。
すると、感染者率が高かったワーストランキングの上位10ヶ所はすべて東京23区で独占。ある意味、予想通りと言えるが、1位の新宿区は住民65.7人に1人が感染という衝撃の結果に。米国の14.5人に1人、英国の21.8人に1人など欧米諸国に比べれば少ないが、アジアでは新宿区より感染率が高いのはイラクなど一部の国のみ。すでに「日本の感染率は世界的にはまだ低い」と言える状況ではないのだ。
しかも、2位港区、3位渋谷区も1%以上の住民が感染していることになる。4位目黒区、5位中央区、6位中野区まではアジアで最も多くの感染者を出しているインドの感染率を上回っている。
また、東京近郊の3県では横浜市中区と川崎市川崎区、千葉県東庄町、埼玉県戸田市で0.5%以上の住民が累計感染者。こちらも東南アジアでは感染状況が深刻とされるフィリピンやインドネシアよりも感染率は高い。
しかも、新規感染者の数は未だ減少に転じておらず、感染率は日を追うごとに悪化。海外では一部の国でワクチン接種が始まっているが、日本は早くても2月下旬以降。爆発的な感染が広がっている段階で接種開始まで1ヶ月以上も時間があるのは大きな懸念要因だ。
コロナ禍に慣れてしまったせいか自粛ムードが薄れている人も少なくない。しかし、感染率の高い地域に住んでいる人は、今こそ自粛生活を徹底すべきなのかもしれない。
(トシタカマサ)
■新型コロナ感染者率 自治体ワーストランキング
1位 東京都新宿区 1/65.7
2位 東京都港区 1/84.4
3位 東京都渋谷区 1/91.8
4位 東京都目黒区 1/113.5
5位 東京都中央区 1/116.3
6位 東京都中野区 1/122.6
7位 東京都台東区 1/140.8
8位 東京都千代田区 1/147.1
9位 東京都豊島区 1/147.8
10位 東京都世田谷区 1/158.5
※各自治体の人口と1月11日時点の累計感染者数をもとに試算