九州移転から32年目の今シーズンもセ・リーグ覇者の巨人に4連勝と盤石の強さを誇った福岡ソフトバンク。だが、北海道移転から17年が経った北海道日本ハムは2016年の日本一を最後に3位1回、5位3回と低迷。球界一の資金力を誇るチームとの差が反映されたといえばそれまでだが、それ以上に深刻なのが日ハムのファン離れが起きていることだ。
ホームゲームの平均観客動員ランキングは、昨年までの過去10シーズンはソフトバンクに次ぐパ・リーグ2位。リーグを代表する人気球団だったが今シーズンは5位。コロナの影響で開幕が約3カ月遅れたとはいえ、条件は全球団同じで言い訳にはならない。
「16年シーズンの平均2万9281人をピークに19年時点で2000人近く減っています。何も今シーズンに始まった話ではなく、ファン離れは以前から起きていたんです」(地元紙記者)
そんな中、球界復帰を目指した新庄剛志も球団はスルー。道産子から“ミスター”の愛称で親しまれ、大泉洋と「水曜どうでしょう」で共演するタレントで映画監督の鈴井貴之がツイッターで「北海道には必要です!」とつぶやくなど大勢の地元ファンが獲得を熱望したが、期待を裏切られた格好だ。
「日ハムは選手を数値化するBOS(ベースボール・オペレーション・システム)という独自の査定システムを導入していますが、実力主義を標榜しながら斎藤佑樹を戦力外にせず現役続行を容認したり、結果の出ない清宮幸太郎を1軍で使い続ける“例外”もある。成績も低迷しているのでファンの不満もたまり、ソッポを向き始めてしまったわけです」(前出・地元紙記者)
今のチームにはダルビッシュや大谷翔平のような全国区の知名度を誇るスター選手もなく、芸人顔負けのトークと明るいキャラで注目される杉谷拳士も常時スタメンで出ているわけではない。23年に新球場を中心とした巨大なボールパーク施設がオープンする予定だが、これも大きな問題を抱えているという。
「遠いんですよ。スタジアム近くに新駅を建設予定ですが、札幌中心部から地下鉄で行ける札幌ドームと比べるとアクセスは悪い。『新球場だと今までのようには通えない』と諦めているファンも少なくありません」(前出・地元紙記者)
それでも優勝すればファンも戻ってくると思うのだが戦力不足の感は否めず、さらにFA宣言中の西川遥輝と有原航平のメジャー移籍が濃厚。前途は多難のようだ…。