韓国で「BTS法案」可決!「兵役」先送りでメンバーを待ち受ける試練とは?

 国の国際的価値を高めた大衆文化のアーティストに対し、兵役を30歳まで延期するとした法案が韓国の国会で可決されたのは、12月1日のこと。これを3日後に28歳のバースデーを迎えるBTS(防弾少年団)の最年長メンバーJIN(ジン)への誕生プレゼントと見るムキも少なくなかった。

「韓国には18〜28歳の健康な男性は全員、約20カ月間の兵役につく義務がありますが、文化体育観光省の試算によれば、ビルボード1位を記録したBTSのシングル『Dynamite』には約1兆7000億ウォン(約1635億円)の経済効果があり、彼らの所属先で10月上旬に上場したビッグヒットエンターテインメントの株価も一時は最高値から55%下落したものの、11月に入り上昇、底値から30%回復。これは“BTS法案”成立を背景に買い戻されたことは間違いなく、そんなことから、国会議員の中からも『兵役延長を認めないのは国家的にマイナスイメージ』と声が多く上がり、それが今回の兵役法改正実現に繋がったと言われています」(韓国のエンタメ業界に詳しいジャーナリスト)

 法案改正を受け、「アーミー」と呼ばれるBTSファンたちは大喜び。だが、一部には「他のスターが模範的な軍への服務で賛辞を受けて兵役を是とする風潮が広まる中、今回の兵役延期法案が水を差すのは必至」という声が少なくないのも事実だ。

「かつて人気俳優ソン・スンホンやチャン・ヒョクが、兵役免除をあっせんするブローカーから薬物を入手し、腎臓の疾患を偽装したり、ヒップホップ界のトップスターだったMCモンが、兵役免除のため12本の歯を抜歯したことも。最高裁判所の判決で『証拠不十分』とされたものの、国民的な批判に晒されたこともありました。そんなこともあって、ここ数年は流れが変わり、トップスターのヒョンビンが軍のなかでも一番訓練の厳しい海兵隊に志願入隊したり、2015年には東方神起のユノが約5週間の基礎軍事訓練で最優秀訓練兵に選ばれ、優れた服務成績で『特級戦士』に選ばれるなど、高い評価を得ました。つまり、昨今では、芸能人といえど、兵役を特別視しない時代になってきた。ところが、そんな中で本人たちの意志とは別に、国が勝手に彼らを特別扱いし、兵役の期限を延ばしてしまったわけですからね。国民感情としては、『経済効果に多大なる貢献をした』という思いがある一方、アンチからは『BTSは国の名誉のために戦う国家代表ではなく、本人たちのために金稼ぎをしているだけ』との声もあがっている。そうなると、彼らが現場に入ったときにイジメや嫌がらせが起こる可能性は否定できません」(前出・ジャーナリスト)

 今年は、米国ビルボードでメインのシングルチャートに続き、アーティストの知名度や影響力を示す「アーティスト100」でも首位を獲得したBTS。だが、「兵役延期」により、この先には、誰も経験したことのないような、辛い試練が待ち受けているかもしれない……。

(灯倫太郎)

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