本当の敵は、外野フィールドに敷きつめられた天然芝かもしれない。
北海道日本ハムファイターズの西川遥輝外野手(28)がポスティングシステムを使って米球界に挑戦することになった。
《明らかなパワー不足、メジャー球団と契約するうえでは障害となるだろう。しかし、スピードと打席での粘り強さ、ミート力は魅力的》
12月4日付(現地時間)の米スポーツサイト・MLBトレードルーモアズは西川をこう評していた。また、大きなセールスポイントとなるとして、「外野の複数ポジションをこなせる」とも伝えていたが、米スカウト陣はその外野守備に懐疑的な見方もしていた。
「盗塁王3度、2017年から積み上げた盗塁数は144。90%近い成功率を誇る俊足が売りです。外野の守備範囲も広いということは想像できますが、肩が弱いという風評はすでに広まっています」(ア・リーグ中部地区スカウト)
西川の肩が強くないことは、パ・リーグ5球団も熟知している。対戦チームの走塁担当コーチは、西川の守備範囲に打球が飛んだ場合を想定して「通常のケースよりも、ひとつ先の塁を狙え」と、進塁への意識づけを徹底させている。前進守備をしくなかでの浅い飛球でもタッチアップを決められることが少なくなかった。米スカウトの疑念はそれだけではないという。
「ほとんどの米球団が天然芝の球場を本拠地としています。青々とした芝生がキレイで、手入れも行き届いているように見えますが、実際に歩いてみると、けっこうデコボコなんですよ。グラウンド整備の技術は日本がいちばん」(前出・スカウト)
ガタガタ状態の外野の芝生を走るのは、大変なこと。慣れるまでそれなりの時間を要するだろう。そのため「スピードを守備に活かしきれないのではないか?」と見られているのだ。
「ポスティングシステムのルールだと、西川とメジャー球団の交渉期間は来年1月3日まで。米FA市場は大物選手から決まっていく傾向にあり、西川はその後で交渉が始まる中堅クラスに分類されています。交渉日程が短くなるのも懸念材料と言えます」(米国人ライター)
日本球界ではレギュラーを張れても、メジャーでは4番手の外野手として枠に滑り込めるかどうかという微妙な評価もあるそうだ。資金難で大物選手との交渉も長期化が予想されている。短い交渉期間で話がまとまったとしても、その後の「デコボコグラウンド」は気になるところだ。
(スポーツライター・飯山満)