大田泰示はG帰還?日本ハムの「ノンテンダー」に賛否両論

 プロ野球界の制度改革か、それとも…。

 北海道日本ハムファイターズが今季、海外FA権を取得した西川遥輝、国内FA権を取得した秋吉亮、大田泰示の3選手を“ノンテンダー”とした(11月16日)。

 簡単に説明すれば、3選手を自由契約にしたということ。つまり、海外を含めた他球団と自由に交渉し、移籍しても良い。昨年オフにポスティングシステムによるメジャーリーグ挑戦を目指し、実績十分な西川は争奪戦となるだろう。

「西川の推定年俸は2億4000万円です。中田翔がいなくなったことで、野手ではチームナンバー1の高給取りとなりました。その西川が仮にFAで国内球団に移籍するとすれば、人的補償と現年俸の50%が移籍先の球団から得られた。大田もチームのトップ5に入っているので、Aランク選手となり、相応の見返りが期待できたのですが…」(スポーツ紙記者)

 それらの見返りを放棄し、自由に移籍先を探してもいいと言うのだから、大サービスである。しかし、そんな日本ハムの今回の決断には、賛否両論だ。

 稲葉篤紀ゼネラルマネージャーはノンテンダーとなって、その後、契約を結び直した昨年の村田透の例を出し、「海外を含めた移籍先を選択できることが重要と考えた結果」と前向きに語っていた。現役を続ける道を閉ざしたものではない。とはいえ「当該選手の身になってみろ」との批判もないわけではない。

「村田の20年年俸は4000万円。ノンテンダーとなって、移籍先を見つけられず、再契約したときの新年俸は1600万円。半分以下の減俸となりました」(ベテラン記者)

 野球協約92条には1億円以下の選手は25%、1億円強は40%を減額の限度額と定めている。近年では本人了承のうえでそれ以上の減額を受け入れ、残留を選択するケースも出てきたが、西川らが移籍交渉に失敗した場合、今季の成績に基づいた“ドライな年俸提示”が可能となる。

 要は、体の良いリストラ、高額年俸には見合わない不振選手を解雇したのも同然という見方もある。

「以前、巨人の原辰徳監督がFA獲得後に人的補償が発生することについて持論を展開しています。移籍しても、他の選手に迷惑が掛かり、当該選手の精神的負担になっているとの趣旨でした」(同前)

 その点から考えると、日本ハムのノンテンダーはFA市場に一石を投じたとも言える。

 ノンテンダーとなった1人、大田泰示は、16年1月の日本ハムへのトレード成立後、「FAで帰って来い」と当時の巨人GMに声を掛けられている。突然の通達に驚いていたのを励ますつもりだったのかもしれないが、西川、秋吉もまだ第一線で活躍できるはず。FA、トレード、トライアウト、外国人選手。ノンテンダーは新たな補強枠となるかもしれない。

(スポーツライター・飯山満)

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