巨人から初のポスティングシステムによるメジャー移籍を果たしたブルージェイズの山口俊(33)がパッとしない。これまで4試合に登板し、0勝2敗、防御率9.00(日本時間8月14日時点、以下同)。新天地で中継ぎとして起用され、開幕直後から背信投球が続く。敗戦処理のイニングを任されるパターンが多くなった。それでも8月13日のマーリンズ戦では大差をつけられた場面で7試合ぶりに登板し、2回3分の1を無安打無失点と好投。2試合連続の無失点で、首脳陣の信頼を回復しつつある。だが、DeNA時代から山口の投球を見続けてきた元メジャー駐日スカウトは、「そもそもモントーヨ監督やコーチ陣、それにブルージェイズのアトキンスGMは調査不足で、日本時代の山口の起用法に関するマニュアルを理解できていない」と断じるのだった。
「山口はベイスターズ時代にストッパーを任されていましたが、いわゆる激情型タイプで、失敗も多かった。そのため先発転向し、巨人時代も含め大成したという経緯がある。つまりはノミの心臓。新天地で走者を背負った場面でいきなり投げさせれば、失敗するのはシナリオどおりです。7月30日のナショナルズ戦でも延長10回、無死二塁からスタートするタイブレーク方式でマウンドに立つと、2四球2被安打で自滅して4失点。チーム関係者に聞いたところ、『試合後のシュンは表情が青ざめ、ユニホーム越しに心臓がバクバクと動いている様子まではっきりとわかった』とのこと。彼が本領を発揮しやすいポジションは、勝っていようが負けていようが大差がついた展開の中継ぎか、先発限定です」(元メジャー駐日スカウト)
ちなみに、ブルージェイズにはドジャースから4年8000万ドル(約85億円)の大型契約で移籍した韓国人左腕・柳賢振(リュ・ヒョンジン)がいる。今季は開幕からパッとしない投球が目立っているが、
「柳と山口は傷の舐め合いじゃないが、クラブハウスで意気投合している。柳の取材で現地を訪れている韓国メディアからは『2人の急接近が険悪な日韓関係のミゾを埋めるキューピッドコンビとなる』などと、のんきにも政治的な展開を期待する向きがあるようだ」(全米野球記者協会所属の現地担当記者)
一方、“投手”エンゼルス・大谷翔平(26)は、3日のアストロズ戦で1回3分の2を投げて降板。右腕の違和感を訴え、MRI検査の結果、右肘付近の屈筋回内筋損傷と診断され、今季の登板は実質的に消滅した。米メディアはこぞって「二刀流挑戦の継続」について、悲観的な見解を示し始めている。
だが、大谷はその後も指名打者としての出場を継続し、11日のアスレチックス戦では4号同点2ランを放ち、翌12日の同カードでは3試合連続の複数安打をマーク。これには、当のエンゼルス首脳陣も「ショウヘイはリアル・モンスターだ」と驚嘆の声を上げ、来季以降の二刀流継続に強い自信を見せ始めているという。
「誰よりも驚いているのはマドン監督です。海千山千の名将が『あれほどの才能を持つ選手にツー・ウェイ・プレーヤー(二刀流)にトライさせないことは罪だ』と言い切っている。エンゼルスが来季以降も大谷の二刀流を続けることは完全な既定路線なんです。時代に先駆けて奇策を用いてきたマドン監督ならば、二刀流に強い理解も持っている。大谷にとって非常にやりやすいでしょう。何より大谷本人が今、マドン監督とエップラーGMに、打者として出場し続けたほうが試合勘も失わないためプラスになると訴えており、投手復帰も諦めるつもりはないとの姿勢を示している。昨年10月にトミー・ジョン手術を受けた右肘の状態も、今回の負傷のリハビリによってさらに時間を置くことになるので、エンゼルストレーナー陣は『ベター・フィットするはず』と、かえって自信を深めているそうです」(現地担当記者)
今季の投手断念に意外な声が出ているのだった。
試合数は例年より100試合少ないが、今季の日本人メジャーリーガーたちの活躍には多くの注目が集まっている。