「リゾート挙式」はストップ高!?「次世代ハンコ」でも注目のスガノミクス銘柄

 9月23日に発表されたNHKの世論調査によると、菅内閣の支持率は62%で、政権発足時としては小泉純一郎、鳩山由紀夫内閣に次ぐ3番目の高水準だという。

 確かに、菅本人が「国民のために働く内閣」と自称する内閣だけあって、具体的な施策を打ち出し、これまでの菅の実行力を鑑みれば事実、「働く」のだろうと期待は持てる。だから、続々と打ち出される施策は現実味を伴って、となればその分、株式市場も過敏に反応するようになる。「この株は上がる。この株は下がる」という、スガノミクス銘柄探しに拍車がかかるというわけだ。

 22日、菅内閣が少子化対策として「新婚さんに60万円プレゼント」の方策もその1つ。現行では、「結婚時に夫婦共に34歳以下」、「世帯収入が480万円未満」といった条件をクリアすれば最大30万円の補助が受けられるという決まりを、39歳以下・540万円未満に拡大するというものだ。ただこの新たなプレゼントも、そもそもが「結婚新生活支援事業」を行っている自治体に居住していることが前提なのだが、実はほとんどの自治体が実施をしておらず、東京都はゼロ、首都圏や主要都市のほとんどは対象外という代物なのだ。

 でも株の世界はそんなことは関係ない。「さて、スガノミクスが現れた」といっては対象銘柄の値が上がり、23日には国内外のリゾート挙式を手がけるワタベウェディングが婚礼需要の増加を見越してストップ高。パートナーAGもコロナ世相に合った低価格結婚式銘柄として注目され、株価が大幅に反発して引き上げられた。

 かと思えば今度は23日、河野行革担当大臣が「ハンコはもう要らない」と、各省庁に原則廃止を求めていたことが明らかになると、ポスト・ハンコを見越した電子認証銘柄がスガノミクス銘柄として浮上。この分野をリードするGMOクラウドや弁護士ドットコム、ジャパンシステムなどが好調に推移した。

 一方で衰退が予想されるのが実際のハンコ銘柄で、ハンコ事業のアミダHDなどは毛嫌いされる結果に。令和に改元された際には需要増で有望視された銘柄だったが、「令和おじさん」が首相になると衰退が叫ばれるという皮肉。ちなみに安倍内閣にあって、「日本の印章制度・文化を守る議員連盟」(自民党はんこ議連)の会長を務めながらIT担当大臣となって、デジタルが分からないIT担当大臣として冷笑された竹本直一衆院議員は、結局は6月に議連の会長を退いている。政治家の逃げ足の速さの証明だろうか。

(猫間滋)

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