「コロナ禍の前は20万円そこそこの収入がありましたが、今はゼロに近いですね。たまにお呼びがかかっても、性病検査の診断書は必須で、それだけで1万円以上はかかります。さらに最近では2万円以上かかるPCR検査の“陰性証明書”の提出が義務化された現場も増えてきているそうで、これらの費用がすべて自己負担になると大赤字ですよ」
こう話すのは、長らく艶系ビデオ業界で働いてきた汁系男優のA氏だ。
新型コロナウィルスの感染拡大の影響により飲食店などではいまだに“3密”を避けるため客席ごとにスペースを空けたり、飛沫対策としてパーテーションを設置したり、入店時に店員が客の手に消毒液を吹きかけるなど、感染対策に励んでいる。そうした中、“3密”や飛沫、肉体接触が前提となっている“艶系作品”の撮影現場ではいったいどのような感染対策が行われているのだろうか? 現役の監督は明かす。
「まず前提として新型コロナの騒動以前から、撮影現場に関してはそのへんの性産業なんかよりも全然衛生環境は良かったと思います。何かと狭い業界なので性病なんてうつそうものならすぐに噂になって仕事を干されることになりますから、プロの男優たちは日頃から健康面には注意を払っています。それに、不潔にしていて女優から嫌がられたら仕事になりませんからね。それはいわゆる“キモ系男優”の人たちも同様で、ルックス的なインパクトはあっても清潔感を保つことは心掛けています。どちらかと言うと、男優よりも女優の方にずぼらなタイプや衛生面に無頓着なコはいますね。ただ、そういうコも撮影になると、マネジャーや事務所のスタッフが厳しく指導していましたよ」
とくに女優の生存競争が激しくなっている近年はプロ意識の高いコが増えており、業界全体の衛生環境はさらに良くなっているという。
そのうえで、前出の監督はこう続ける。
「正直言って“絡み”が前提の撮影において完璧な感染対策は不可能ではありますが、撮影前に出演者、スタッフも含めて熱がないか体温チェックはしています。あと、不要な密を避けるため、撮影現場に入れる人数も制限していますね。作品にもよりますが、例えば女優をフィーチャーした“単体”の撮影だと女優、男優、監督、AD、ヘアメイク、マネジャーあたりが現場にいるものですが、普段ADがやる雑用を監督がやったり、男優に手伝ってもらうことでADの人員を削減したり、マネジャーには外や車の中で時間を潰してもらったりとか。場合によっては作品に携わる男優の数を減らすため、監督が男優を兼任することもあります」
こうした事情もあって、廃業する男優が後を絶たないという。前出の汁系男優A氏が言う。
「唯一、仕事があるのはVRの撮影ですね。撮影はすべて男性目線で行われるので、顔が映ることはありません。それでも現場では常にマスク着用。長い現場だと、20時間近く寝そべった状態で“勃ち”をキープしなければいけません。それでギャラは2万円ほど。コロナと仕事のストレスで、抜け毛が一気に増えた気がします」
このままコロナ禍が続けば、艶系ビデオ業界で男優の“廃業ラッシュ”は必至!?