メジャー移籍1年目の筒香嘉智のいるタンパベイ・レイズは、本拠地トロピカーナ・フィールドで開幕戦を迎えた。筒香が初アーチを放ったが、試合は4対6でブルージェイズに敗れた。
そのレイズだが、サマーキャンプ半ばから外野手2人制の新シフトをテストしてきた。「特定の選手に対し、ヒットゾーンを狭くするため」、あるいは、「もう1点もやれない場面で使う」と予想されていたが、そうではないらしい。ケビン・キャッシュ監督はかなりの頻度で「外野手2人&内野手5人制」のシフトを使うつもりでいた。
「2月にマニュエル・マーゴ外野手をパドレスからトレード獲得したとき、キャッシュ監督はひらめいたのかもしれません。いや、外野手2人制のシフトを実行するために、マーゴを獲得したのかもしれません」(米国人ライター)
レイズにはMLBでも屈指の守備範囲の広さを誇る外野手のケビン・キアマイアーがいる。守備範囲を表す指標となるOAA(Outs Above Average)があって、キアマイアーは「+17」でメジャー2位。マーゴも「OAA+10」で同7位。2人とも、通常の外野手の1.5倍くらいの守備範囲の広さが数字で実証されている。
キアマイアーとマーゴの2人で3人分の守備範囲がこなせるとはいえ、それはあくまでも数字上の話。また、キャッシュ監督の狙いは外野ではなく、投手陣にあった。
「昨季16勝を上げたチャーリー・モートン、同じく先発のタイラー・グラスノー、救援のディエゴ・カスティーヨ、オリバー・ドレイクなどの主力投手たちは『ゴロ率』が高いんです。彼らは打ち返された打球の割合が50%前後と高く、“グラウンドボール・ピッチャー”と言えます。内野手が5人になれば、ゴロのヒットゾーンはかなり狭くなる」(前出・米国人ライター)
試合の最初から最後まで外野手2人制で凌ぐのは考えにくいが、局面によっては、「内野手5人で守る」シフトは十分に考えられる。
「筒香はDeNA時代に三塁、一塁の守備についた経験があるので、5人目の内野手になる可能性がもっとも高そうなのは彼です。開幕戦では三塁を守りましたが、外野手でスタメン出場し、途中から『5人目の内野手』になって、内野フィールドのどこかを守ることになってもおかしくなさそう」(前出・米国人ライター)
キャッシュ監督は一昨年にリリーフ投手を先発させるオープナーを発案した。この投手起用法は他球団も取り入れたが、内野手5人制が模倣されるかどうかは、筒香の守備力次第と言えそうだ。
(スポーツライター・飯山満)