「外野なら2人制でも」キャッシュ監督が筒香の守備をベタ褒めする真意とは?

 メジャーリーグでは、サマーキャンプもペナントレース本番を意識した実戦形式の練習に切り替わっている。今シーズンから筒香嘉智が加入したタンパベイ・レイズも、先発ローテーション入りが確実なエース級とレギュラー陣の“真剣勝負”が繰り広げられていた。しかし、同時にこんな声も聞こえてきた。「筒香をどう評価していいのか、わからない」(米メディア)と……。

「7月14日(現地時間)、右腕の故障からの復活を目指すタイラー・グラスノーと筒香の対決が実現しました。1打数無安打1四球でグラスノーに軍配が上がりました」(米国人ライター)

 グラスノーはサマーキャンプ前に新型コロナウイルスの陽性反応が出たこともあり、調整が大幅に遅れていた。そのグラスノーの代名詞でもある150キロ台後半のストレート、縦に曲がるスライダーが蘇ったことで、今季から指揮を執るケビン・キャッシュ監督もひと安心だろうが、結果を残せなかった筒香についても、太鼓判を押していたそうだ。

「同日、米メディアが受けた印象では、筒香はグラスノーの真っ直ぐに差し込まれたようでした。グラスノーは速球派で知られているので悲観することはありませんが、問題は守備面です」(前出・米国人ライター)

 筒香は「3番・三塁」で出場した。今のところ、ミスはしていないが、DeNA時代から「守備は苦手」で通っていた。その苦手な面を指して、キャッシュ監督は「動きは正確だ」と褒めていたそうだ。それだけではない。

「試合形式の打撃練習が行われた9日(現地時間)、筒香は左翼の守備に入りました。キャッシュ監督は『筒香なら、外野2人制でもいける』と絶賛していました」(特派記者)

 筒香はそれほど俊足ではなかったはず……。もっとも、ペナントレース本番前に新加入の注目選手の弱点を暴露するような指揮官はいないが、「打撃面で期待、守備は二の次」というのが米メディアの筒香に対する評価。キャッシュ監督が守備面を褒め続けるため、「本当の評価はどうなんだ?」と、勘繰り始めたそうだ。

 プロ野球解説者の一人がこう言う。

「DeNA時代、やはり速球に差し込まれることが少なくありませんでした。甘いボールは見逃さないし、変化球を打つのは物凄く巧い。むしろ心配しているのは、筒香がスロースターターなこと」

 キャッシュ監督はリリーフ投手を先発させる「オープナー」を発案し、メジャーに定着させたアイディアマンでもある。あえてウイークポイントを米メディア前で称賛しているのは、筒香を活躍させる奇策の布石なのかもしれない。

(スポーツライター・飯山満)

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