じつは録画映像だった!? それでもサザンの「有料配信ライブ」が支持された理由

 シンガーソングライターの山下達郎がついに45年の沈黙を破ってライブ映像の配信に踏み切った。高音質動画配信サービス「MUSIC/SLASH」(ミュージックスラッシュ)が、“こけら落とし”となるライブ「TATSURO YAMASHITA SUPER STREAMING」を、7月30日夜に配信することが発表された。

「1975年のデビュー以来、生のライブにこだわる山下さんは、その映像コンテンツの使用について、かたくなに公開を避けてきました。山下さん本人も、この配信サービスについて『キャリア45年。私は今まで、自分のライブ映像を映画館以外で公開したことがありません。テレビに乗せたこともありませんでした』と公式コメントを発表しているように、ファンが自宅で“動く山下達郎”を拝めるのは史上初のこと。音楽業界ではかなりのビッグニュース。4500円のチケットの売れ行きも好調のようです」(音楽ライター)

 この英断にコメントを寄せたのが、サザンオールスターズの桑田佳祐だった。7月11日、パーソナリティを務めるラジオ番組「桑田佳祐のやさしい夜遊び」(TOKYO FM)で、リスナーからの「(ライブ配信について山下達郎と)お話されたりしたのですか?」という質問に、「私がぜんぶ手ほどきをしようと思ってるんですけどね。達郎さん、配信だからね。くれぐれも上司を裏切ることじゃないからね。あれは“背信”だから」とジョークをはさんだうえで、こうエールを送ったのだった。

「楽しみですよね。達郎さんがこういうことを前向きに…。大先輩がやってくれるっていうので私も楽しみにしています」

 サザンといえば6月25日にバンド史上初となる無観客ライブ「Keep Smilin’ 〜皆さん、ありがとうございます!!〜」を横浜アリーナにて開催。この模様は複数の動画配信サービスを通じて有料配信され、総視聴者数は約50万人にのぼったという。

「チケット購入者は約18万人で、その売上だけでも6億円にのぼったとか。ライブを見た客の反応は上々で、ネット上でも《3600円のチケット代を払った価値はあった》《自宅で家族一緒にこんなに興奮できるとは…記憶に残る伝説のライブでした》《日本がサザンでひとつになったライブ感をまた味わいたい》と、“アンコール”を期待する声が多くあがっていました。ところが、7月14日発売の『週刊女性』は、このライブが“録画”だったと報じて物議をかもしています。記事によれば、夜の8時スタートとなったこのライブ、じつは昼すぎから収録して、そこから音声チェックと編集を行ったうえで配信したとのこと。リアルライブ中継だと信じていたファンはガッカリするかもしれませんが、やはりネット配信ということもあって、よけいなトラブルを避けたかったのかもしれません。お金をもらって演奏するのですからこれは当然の措置。山下さんのライブ配信も映像や音源は前もって入念なチェック作業を経て公開されるので、ライブの生中継ではありません。クオリティを求めるか、それとも生中継ならではの、ハプニングを含めたライブ感を求めるかは、ファンの気持ち次第ではないでしょうか」(前出・音楽ライター)

 それでも、桑田佳祐があえて横浜アリーナという大箱でライブを敢行したのは、コロナ禍で仕事を失ったスタッフの収入面をサポートしたいという心意気があったと言われている。くしくも新宿の劇場で“舞台クラスター”が発生したばかり。今後も大物アーティストのライブ配信に期待の声が寄せられている。

(あまねかずこ)

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