6月25日、定食チェーン「大戸屋ごはん処」を展開する大戸屋ホールディングス(HD)の株主総会で、現経営陣と複数の外食事業を手がける筆頭株主のコロワイドが、経営陣の刷新とセントラルキッチンの導入をめぐって対立。結果的にコロワイド側の株主提案は否決となったが、現体制に対する不満の声も少なくなかった。
「コロワイドは取締役の過半数をコロワイド側とする提案をしていたことから、実質的な大戸屋に対する”乗っ取り”として大きな話題になっていました。加えて今回の採決では『牛角』や『甘太郎』を運営するコロワイドが、複数の店舗の料理を1カ所でまとめて調理する、セントラルキッチン方式の導入を求めたことも焦点となったのです」(社会部記者)
セントラルキッチンの導入の是非についてはネット上でも、《牛角やかっぱ寿司も、セントラルキッチンになってから味が落ちたかも……》《大戸屋は一品一品を店内で調理しているところが魅力だから、それをやめたら大戸屋である必要がない》など否定的な意見が多く、結局は約6割を占める個人株主らもセントラルキッチンに反対する声が多かったことから、コロワイドの提案は退けられたのだった。
「結局、そのセントラルキッチン導入や役員交代も否決され、現体制の維持が決まりましたが、決して今の状態が支持されているというわけではありません。大戸屋は昨年2月に起きたバイトテロやメニューの値上げによって、急速な客離れが進行しており、昨年12月に放送された『日経スペシャル ガイアの夜明け』(テレビ東京系)により伝えられた、現場に何もかも任せきりな経営陣の姿が《ちょっとブラックなのでは?》などと話題になり、イメージも失墜しています。今回、コロワイドの提案が否決されたことに大戸屋HDの窪田健一社長は、セントラルキッチンの否決について『店内調理にこだわってきた姿勢に個人株主の多くが共感してくれた』と胸を張っていましたが、大戸屋の今後については具体的な策が見えないまま。結局は《また現場に丸投げするだけでは?》という意見も見られます」(経済ジャーナリスト)
セントラルキッチン導入の株主提案は否決され、調理の効率よりも味が尊重される結果となったが、大戸屋の経営面には何らかの変革が必要なのかもしれない。
(小林洋三)