北海道日本ハムファイターズ・吉田輝星の一軍デビューが早まりそうである。4月3日、二軍ながら、公式戦初の先発マウンドを務めることが決まった。この結果次第では即、一軍登録もあり得るという。
「今シーズンから、一軍登録の選手数が28人から29人に増えました。試合登録は25人のままですが、一人増えた分をたとえばピッチャーの増員に充てれば、救援陣の負担軽減にもなります」(スポーツ紙記者)
吉田が二軍登板した3月26日の千葉ロッテとのファーム戦後、荒木大輔二軍監督は「今までのなかでは一番良かった」と、及第点をつけている。日本ハムは4月1日付で野手一人を一軍登録から外した。登録人数枠の「空き」を作ったのは、吉田を一軍昇格させるための布石と見ていいだろう。
キャンプでも二軍スタートだった吉田にチャンスが巡ってきたのは、先発投手陣の人材難もある。しかし、それだけではないようだ。
「斎藤佑樹を先発投手と同じ調整をさせていくようです。といっても、先発投手として責任イニングの5~6回を投げるのではなく、『オープナー』として使っていくので、どうしてもブルペン陣に長いイニングの務まるピッチャーが必要なんです」(同前)
オープナーとは、打者一巡を目安に救援タイプの投手を先発させ、本来の先発ピッチャーを打者二巡目から登板させること。野球中継で解説者が「立ち上がりが悪い」「徐々に調整して」と評することがあるが、そうした初回からの失点を防ぐための采配だ。
日ハムは斎藤を、このオープナーとして使っていくつもりだが、目下チームは先発投手の頭数が足りない状態。そこで、斎藤の後を投げる投手がもう一人必要となり、吉田にチャンスが回ってきたというわけだ。
「吉田は二軍でじっくり育てる方針でしたが、首脳陣が思っていた以上にプロのスピードに適応できています。スタミナは昨夏の甲子園で証明済みですし、オープナーの後を託すにはうってつけです」(同前)
その試金石となる4月3日のファーム戦の相手は巨人だ。巨人ファンを公言したのに指名してもらえなかった恨みをぶつければ、斎藤の補助役ではなく、正規の先発ローテーション入りも見えてきそうだ。
(スポーツライター・飯山満)