“有言実行”の井口資仁監督が待っていたのは、やはり「生え抜きのエース候補」の到来だった。巨人と個別に設けた練習試合で、エースに名乗り出ていた二木康太投手がようやく結果を出した。5回を投げ、被安打2、失点ゼロ。力強いストレートで巨人打線をねじ伏せ、開幕ローテーション入りを確実にした。
「二木は昨年オフ、背番号を64から18に変更しています。エースナンバーの空席が長く続いていました。二木の継承が決まった経緯ですが、首脳陣が推薦したのではなく、本人が『欲しい!』と申し出たんです」(球界関係者)
「18番が欲しい」と言ったということは、「自分がエースになる」と宣言したのも同然だ。井口監督もその意気込みを買って承諾した。
「17年に規定投球イニング数に到達しましたが、18年は開幕直後に二軍落ちとなり、その後は伸び悩んでいました」(スポーツ紙記者)
二木は力強いストレートが売り。将来が期待されていた一人だが、スタミナ不足なのか、試合中盤に突如、ストレートの威力を失い、痛打を浴びる場面もあった。
「周囲は、変化球でストライクカウントを確実に取れるようになればとアドバイスしていました」(前出・スポーツ紙記者)
しかし、二木本人がこだわったのは、やはり、ストレートだった。オフの間、米国のスポーツ施設に行き、投球フォームを解析してもらったという。「試合中、納得の行くストレートとそうでない投球がある」と、その原因を探るためだ。詳細は明かされていないが、彼なりに修正個所を理解したらしく、今春キャンプではマイナーチェンジさせた新投球フォームを習得するため、必死の投げ込み練習が続いた。前回登板の中日戦(6月9日)では被弾を食らう場面もあり、背番号18を背負う投手の“最低ノルマ”ともいえる先発ローテーション入りを確実にできなかった。
16日の巨人戦は開幕戦前の最後の試合。ラストチャンスでなんとか、「18番に相応しい投手」という“公約”を果たすことができた。
「昨季まで在籍していた鈴木大地も立候補してチームリーダーを務めました。もともと、キャプテンシーの強い選手でしたが、自ら名乗り出てチームの牽引役になるのはたいへんな決意です。井口監督は二木に期待しているのだと思います」(前出・球界関係者)
二木はストレートに対するこだわりが強い。そのこだわりが痛打につながる場面もあるが、闘争心の人一倍強い投手とも言える。二木のストレートが、今シーズンのロッテの浮沈のカギを握りそうだ。
(スポーツライター・飯山満)