「北朝鮮にお金を払って」橋下発言で注目される「愛の不時着」と親北意識

 前大阪府知事の橋下徹氏が6月14日、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」で北朝鮮による拉致問題に関して「最終的には(北朝鮮に)お金を払って拉致被害者を返してくれということしか思いつかない」と発言したことが波紋を呼んでいる。

 作家の百田尚樹氏が自身のTwitterで「43年前、ダッカ空港のハイジャック犯に対し、『人命は地球よりも重い』と言って、犯人に大金を払って、凶悪犯を釈放して世界を唖然とさせた日本の首相がいた。もう一度それをやって、また世界を唖然とさせろというのか」と投稿するなど各方面から「北朝鮮への利益供与は断じて許されない」と橋下氏の発言には批判が相次いでいる。

 しかし、そのような中で若者の間では北朝鮮への宥和政策に理解を示す声が比較的多く上がっている。その背景にはある韓国ドラマの存在があるという。

「今、主に若い女性達の間で『愛の不時着』というドラマが空前のブームになっています。日本では今年2月にNetflixで配信され大きな話題呼び、以来ずっとNetflixの《今日の総合TOP10(日本)》の上位にランクインしています。あまりの面白さに、最終話まで見た人たちは皆喪失感に駆られて『不時着ロス』という流行語まで生み出されました。」(政治ライター)

 この、ドラマ「愛の不時着」が日本の若者たちに、北朝鮮の人たちに対して好感を抱かせているのだという。

「この『愛の不時着』は、パラグライダーで国境を越えて北朝鮮に不時着してしまった韓国財閥の令嬢であるヒロイン、ユン・セリと北朝鮮の青年将校、リ・ジョンヒョクの禁断の恋愛を描くラブストーリー。青年将校は端整なルックスに誠実な人柄で、彼に心を奪われる人たちが続出しています。そして、なんと橋下徹さんも青年将校の虜になった一人なのです。橋下さんは以前出演した番組で『愛の不時着』にハマッていることを明かし、『見終わった後にね、北朝鮮の兵士ってなかなかいいヤツらじゃんと思っちゃった』と絶賛していました。橋下さんの娘さんにいたっては『もう(北朝鮮を目の敵にしなくても)いいやんか』と言っていたそうです」(前出・政治ライター)

 しかし、橋下氏は同時に「兵士の一人一人が極悪非道人じゃないけども、やはり北朝鮮の今の体制とか軍の問題点とかについては、子どもにフォローアップして見させないと。北朝鮮をある意味でいい宣伝になってしまっていると思ったんですよね」と北朝鮮の体制への批判と、若者の拉致問題などへの問題意識の低下を危惧する発言もしており、「愛の不時着」が北朝鮮の問題点を包み隠してしまうのではないかとの不安を吐露している。

 北朝鮮の一般国民には罪はない。しかし、だからといって、問題そのものに蓋をしてしまうことはジョンヒョクのような誠実な北朝鮮の国民たちにとって有益な事だとは言えないだろう。

(浜野ふみ)
 

ライフ