もう脅しには屈しない!
9月26日、韓国建軍75周年「国軍の日」を記念し、ソウル近郊で10年ぶりに大規模な市街地パレードが行われた。雨が降りしきる中、パレードに先立ち、記念演説した尹錫悦大統領は「北が核を使用する場合、韓米同盟の圧倒的な対応を通じて北の政権を終息させる」として、「北の政権は核兵器で自らの安全を守ることはできないという事実をはっきりと知るべきだ」と強い口調で述べ、沿道に詰め掛けた市民から大きな喝采を浴びた。
市街地でのパレードは、保守系の朴槿恵政権だった2013年以来、10年ぶりとなるが、
「ソウル中心部での軍事パレードは以前は5年に1回行われていたのですが、北朝鮮との対話を重視する文在寅政権下では『北朝鮮を必要以上に刺激する危険がある』として中止されていました。結果、それが北朝鮮の傲慢な態度を増長させた一つの要因となったことも事実でしょう。現政権では日米韓の協力を強化し、強力な安保体制を確立していくという強い意志のもと、目には目を、歯には歯を、そして軍事パレードには軍事パレードを、という形でパレードが復活したようです」(通信社記者)
10年ぶりとなった今回のパレードでは対北朝鮮を強く意識。北朝鮮の弾道ミサイルを高度50〜60キロで迎撃する能力を備える長距離地対空誘導兵器「L—SAM」や、戦術核級の破壊力を持つことから「怪物ミサイル」と呼ばれる高威力地対地弾道ミサイル「玄武」が初公開された。
「隠密に開発を進めてきた秘密兵器をあえて公開したのは、尹大統領がそこまで腹をくくっているという証拠。今回のパレードには、我々は絶対に北の脅しには屈しない、という尹大統領の強い意志を感じます」(同)
むろん、北朝鮮は尹大統領の発言に猛反発。25日付の朝鮮中央通信では、「隣国同士が互いに親しく過ごすのは自然で正常なことだ」と主張し、尹氏を「ばか」などと罵倒したうえで、「無能な執権者と呼ばれている人物のヒステリックな発言に耳を傾ける人はいない」と、辛辣な表現を使い敵意を剥き出しにしている。
25日には日本海で米韓の海軍による共同訓練を実施したと発表があり、それによれば、両軍のイージス駆逐艦など9隻に加え、哨戒機が2機参加、さらに潜水艦による訓練も行われ、北朝鮮に圧力をかけている。
前政権とは180度異なる韓国現政権の強気姿勢に、北朝鮮は今後どう出てくるのか。南北の緊張がさらに高まることになった。
(灯倫太郎)