「全品半額」はガチだった!ドミノ・ピザがテイクアウト販売を強化するワケ

 こんがりと焼けた生地にチーズがとろけ、その上にたんまりと乗せられた野菜や肉などの具材が食欲をそそる。そんなピザと一緒に、キンキンに冷えたビールで一杯やるのもオツだ。

 大手ピザチェーンの「ドミノ・ピザ」は、2012年から“持ち帰り2枚目無料”というキャンペーンを長らく行ってきたが、先日6月14日をもって終了。それに代わり、6月15日から、店舗での持ち帰りピザ全品の“半額キャンペーン“を打ち出した。Mサイズは900円、Rサイズは1200円、Lサイズは1400円からそれぞれ購入可能だ。

 毎週水曜と日曜日には、Mサイズ3枚で2400円、Rサイズ3枚3000円、Lサイズ3枚で3600円というキャンペーンも行なっているが、今回の半額キャンペーンでは1枚目から割引の対象になる。これによって、「ピザは1枚で十分」という単身世帯の利用客もますます増えていくだろう。

 このピザ全品半額キャンペーンを受けて巷では、「ドミノ・ピザが本気出してきてるわ」「今日の晩飯は決まった」「近くにドミノ・ピザがある場所に住みたい」「ピザーラ派だけど今回ばかりはドミノに行かざるをえない」といった声が上がっている。

 そもそもドミノ・ピザは、業界内で割安な料金設定で知られる。他のピザチェーンも半額や2枚目無料キャンペーンを打ち出すことはあるが、やはりドミノ・ピザの方がクーポンの種類も豊富と言われ、ネット注文やメルマガ会員限定の割引など枚挙にいとまがない。

 なぜドミノ・ピザはここまで安くピザを提供できるのか。

「ビジネスのカラクリのひとつには、徹底したテイクアウト戦術が関係しています。これはどのピザチェーンにも言えることですが、デリバリーはコスパが悪い。仮に時給1200円のアルバイトが、900円のピザ1枚を届けるためだけに1時間かけてバイクを走らせたら大赤字ですし、注文が殺到すれば人手不足でオペレーションが崩壊してしまいます。そのため、デリバリーに頼らない販売方法を強化したい。テイクアウトのよさをPRするための割引キャンペーンと言えます。2点目に、そもそもピザの原価は非常に安い。飲食業界の原価の相場が30%程度とされるのなか、ピザの原価は提供価格の20%台が相場とも言われています。つまり、普段1800円で提供しているピザの原価は安く見積もっても360円となるため、900円で提供したとしても十分に商売として成立する計算になります」(飲食店コンサルタント)

 こうした原価の安さに加え、ドミノ・ピザは多様なキャンペーンを打ち出すプロモーション戦略で、消費者に“安い”と思わせることに成功しているのだろう。

 6月15日の正午、さっそく筆者は最寄りのドミノ・ピザへ行ってみた。店の入り口には「全品半額」と大々的にポスターが貼られており、注文したのは「カリフォルニアスタイル チキン&ベーコン」のMサイズ。値段は900円だ。

 しかし、女性店員はタブレットで会計を計算し始め、提示した額はというと…。

「1078円になります」

「え!?」

「900円に消費税が加わりまして、1078円になります……あっ、失礼しました。972円になります」

 どうやら980円の別の商品を、イートインの消費税10%で計算してしまったようだ。デリバリーとテイクアウトは消費税8%だが、店内のスペースで食べる場合は10%。さらに15日から始まったキャンペーンで何枚持ち帰りしても半額と、スタッフも対応に追われている様子だった。報道によれば、コロナ禍での需要増を受けて7400人を新規採用したというドミノ・ピザ。自宅でおいしいピザが格安で味わえるのも、スタッフの頑張りがあってこそかもしれない。

(角南丈)

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