野村克也「ダメ出し連発」ボヤキ大放談(3)栗山は俺が嫌いなんだろう

 くしくも今季から野村氏の古巣・阪神では、同じ捕手出身で、野村政権下でも正捕手として出場し続けた矢野燿大監督が新指揮官に就任した。

 矢野がね、「監督をやらせていただきます」って俺のところにあいさつに来たんですよ。余談だけど、日本ハムの栗山は来なかったけどな。気がついたら日ハムのユニホーム着てた。あいつは俺が嫌いなんだろう(笑)。俺がヤクルトに入ったら、チャンスがないと思って逃げるように辞めていったからな。それはさておき、矢野には「わざわざ来なくていいのに。まあ、頑張れよ」と言ったよ。期待はしているけど、どうだろうね。現時点ではまだ何の実績もないから「大丈夫か?」という不安のほうが先に立つわな。矢野はなんせマジメだ。マジメすぎるのもよくない。特に監督としてはちょっと物足りなさが残るね。過去の名監督と言われる人はみんな適度に悪いよ(笑)。何でも〝遊び〟が大事じゃない? どこかに息抜きどころや逃げ道がちょっとくらいはないとね。マスコミへの対策もあまりうまいほうじゃないだろうし。

 野村氏は、3月23日に最新著書「知となる、世界の最強名言集105 野村克也を支えた賢者の教え」(小社刊)を上梓しているが、そこに掲載された座右の銘の一つを引き合いに出し、こう語った。

 太平洋戦争で戦死した、海軍少佐の臼淵磐という人がこう言っている。「進歩のない者は決して勝たない 負けて目覚めることが最上の道だ」。阪神は去年、最下位だったでしょう。負けて、何が足りなかったのかに目覚めて、勝つための方法を探すことが大事。これも私の座右の銘ですが、アリストテレスも「希望とは、目覚めて見る夢なり」と言っている。希望はすぐには見つからないかもしれないけど、かなえるために努力せにゃいかん。矢野も選手もそうあってほしいもんだね。

- 球界で指導者となった愛弟子という点では、ヤクルトでヘッドコーチを務める宮本慎也の名も挙がる。同様に古巣の楽天では、剛速球で鳴らした石井一久氏がGM職に就任している。

- 阪神と同じく去年はリーグ最下位だった楽天だけど、敗因は俺を4年でクビにしたことだな(笑)。まあそれはいいとして、石井がGMって、球団は何考えてるんだ。笑っちゃうよ、世も末だね。

 矢野には悪いが、宮本のほうがもう少しばかり期待してるかな。でもなあ、あれも気をつけないかん。口は災いのもとと言うけど、言ってはいけないことでも平気で言うところがあるから。誰だろうと忖度がなくて、しゃべる時の状況判断が下手なんだな。それだから、言ってることは正しくても誤解を招くことがある。

 まあでも、ヤクルトは監督業としてはやりやすい球団ですよ。私は当時の相馬和夫球団社長から「野球の神髄を教えてやってほしい」と言われて監督になったんだけど、ヤクルトとは縁もゆかりもない自分を100%信頼して、やりたいようにやらせてくれましたから。今もオーナーや社長が現場に口を出さずに任せてくれるんじゃないの。宮本は、早く監督をやってほしいと思う唯一の人材だな。

スポーツ