前澤氏の支援事業に「養育費なんていらない!」シンママたちの切実な事情

 6月1日、ZOZO創業者の前澤友作氏が新会社を設立し新たなサービスを始めることを発表した。社名は「株式会社 小さな一歩」で、事業のテーマが「養育費」であること、さらにサービスの詳細を自身のYouTubeチャンネルやTwitterで発表し話題となっている。

 前澤氏は今年5月上旬に「前澤ひとり親応援基金」の第一弾として「10万円を1万人のひとり親に配る」というプロジェクトを実施して話題を呼んだ。それに関連して行ったアンケートの結果、現在、元パートナーから養育費を1円も受け取れていない「ひとり親」が75%もいるということが判明したとして、養育費未払いが大きな社会問題であることを実感したという。

 今回発表した新事業は「養育費あんしん受取りサービス」というもので、ひとり親とその元パートナーとの間に入って、ひとり親が養育費を受け取ることができるよう約束を取り付けるといったサービスだ。スマホで簡単に手続きができて、当事者同士がコンタクトすることなく、決められた日時に決められた金額がひとり親のもとに支払われる。公開された動画内で前澤氏は養育費についてこう訴えている。

「養育費(を受け取るの)は子供の権利ですから、大人の事情でそれが途絶えるのは許されることではないですし、放棄すべき権利ではありません」

 この画期的なサービスにネット上では「この会社どういう仕組み?どうやって儲けるの?誰が会社に利用料払うの?」などと疑問の声が多くあがったが、同社のサイトには「保証料15%(1年分の一括受取りの場合25%)」と明記されていて、仲介した際の保証料で収益をあげると思われる。

 今年4月、養育費に関する法改正が行われ、未払いの養育費については以前よりも取り立てを厳しく行えるようになった。しかし、依然として手続きなどの煩わしさで二の足を踏むひとり親が多い中、前澤氏の新事業は世のひとり親にとって大きな支えになるだろう。

 同事業はこの未払い問題の解決に向けて、「養育費は払うべき」という風潮作りに一役買う“大きな一歩”だとネット上では賛同され、前澤氏を応援するコメントが多く投稿されている。

 だがその一方で、事業のターゲットであるひとり親の反応は賛同ばかりではない。《仲介してくれるとしても一切関わりたくない相手なのでお願いしたくありません》《酷いDVを受けての離婚だったし、養育費を請求したら子供に接触される可能性があるかも…。怖くてできない》《大嫌いな元旦那のお金なんて子供の教育に1円たりとも使いたくないです》と、元パートナーからの養育費の受取りを拒否するようなコメントも多く見受けられた。

 養育費は親のためにあるものではなく子供のためにあるものであり、前澤氏が「大人の事情で子供への養育費が途絶えることは許せない」と訴えるように、“こどもファースト”に考えていくべきではないだろうか。

(浜野ふみ)

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