「一律10万円」に問題続々!実は安倍政権に頼らず80万円借りる制度があった

「事業規模108兆円」と大風呂敷を広げたものの、そんな大金が庶民に行きわたっているとはとうてい思えない。「下級国民皆殺し」に舵を切ったかに見える安倍政権。あきれ返るのは、コロナ防疫のみならず、危機にある経済対策の遅れぶりだ。

「もとより野党をはじめ、一律給付を求める声は根強かったのですが、これに反対していたのが麻生太郎副総理兼財務相(79)です。08年のリーマン・ショックの翌年、麻生政権が配布した定額給付金が不評だったシコリがあるからです。低所得者の支持層を抱える公明党は一律給付案を推していたが、公明党嫌いで知られる麻生副総理が押し切って条件つきの30万円給付案を閣議決定した。しかし、あまりに申請が複雑で実際に交付されるのは2割程度ということが明らかとなり、世論からも大ブーイングを浴びました。最終的に公明党の山口那津男代表(67)に連立離脱までチラつかされた安倍総理が一律給付案を呑んだ形となりました」(官邸担当記者)

 1人10万円は、国民救済どころか、政権与党内部の妥協の産物だったというから国民不在も甚だしい。さらには「10万円は手を挙げた者に」と麻生副総理がおなじみの上から目線で言い放った「特別定額給付金」はいつ手に入るのか。

 全国紙政治部デスクが解説する。

「支給を決めたのは政府ですが、実際に給付の窓口となるのは各市区町村となります。すでにホームページではマイナンバーを使ったオンライン申請が先行していますが、一部の自治体では早くも『給付が遅い』などと苦情が寄せられている。かなりの地域差が出ることは確実で、10万円の支給が行き渡るのは、早くて5月末、それもスムーズにいけばの話になります」

 個別の給付は自治体任せという丸投げぶりは、コロナ対策とまるで変わりがない。支給が遅延しても政府は責任を取らないという姿勢は、さながら「桜を見る会」を巡る醜聞でもまったく意に介さない安倍総理の無責任答弁を彷彿させるものだ。佐藤氏も安倍内閣のずさんなコロナ救済策にあらためて憤りをあらわにする。

「会見では、緊急事態を解除する基準がまったく示されなかった。安倍総理は解除の条件として『一定の基準』というが、野球選手でも一定以上のホームランを打ったら給料を上げるなんて契約することはない。基準も理由も数式も何も示されないまま、社長がやみくもに『一定以上の業績を残そう。私と一緒に頑張ろう』と言っても、ついていく社員はいませんよ」

 さらに佐藤氏は安倍総理に、生活防衛のために欠けているのは「家賃の補助」の問題だと指摘する。

「あまり知られていませんが、『住居確保給付金』という制度が有効です。これは会社をクビになり、家賃が払えなくなった人向けに作られたコロナ以前からある制度で、単身者で毎月5万円程度、2人住まいで6万円程度の家賃を補助するものです。他にも、個人向けの『緊急小口資金』では無利息無保証人で最大80万円まで貸してくれる制度もある。これらを時間のかかる窓口ではなくオンラインでできるようにすれば、当座は一安心できる人もいるはずです。さまざまな問題点がある雇用調整助成金は、実際の支給が0.1%程度にとどまっている。つまりこの対策が絵に描いたモチであることは疑いようがない。政府は救助する浮き輪こそたくさん用意しているが、煩雑な書類を用意し、書き方が悪いから再提出しろという。これはもう金などやらないと言っているのと同じことです」

 安倍総理みずからは歳費たった2割カットのみ。自宅で優雅にペットをなでながら動画撮影にいそしむ御仁には下級国民の気持ちなど忖度にあたらないということなのだろう。

 安倍政権の「経済無能」を露呈したものに、国民からは満場一致で466億円のムダづかいと揶揄され、海外メディアも「前例のない異次元の政策」と嘲笑の的になっている「アベノマスク」がある。政治部デスクが解説する。
「布製のアベノマスクの配布は、ウイルス飛散防止機能のある『N95』マスクを医療機関のために優先するためです。ちょうどマスクが手に入らないと騒ぎ始めた庶民に対し、ウイルス防止には役に立たない布マスクを配って黙らせようとしたわけです。納入した『興和』はこのN95の大手メーカーで、N95を大量生産するまでの時間稼ぎとして、アベノマスクを配布することで結託したのです」

 このプロジェクトを担当したのは、安倍総理直属の今井尚哉秘書官(61)をはじめとする経産省官僚数名から成る「今井チーム」だったことが判明している。

「この今井チームが独断で布マスク配布を断行したため、他の閣僚からは総スカン。特に安倍総理と微妙な関係にある菅義偉官房長官(71)は、総理の決めたマスクを誰が着けるものかと完全無視。それでも安倍総理は、自分の手下が実行しただけに、ウソでもいいから庶民向けに『布マスクは有効だ』とパフォーマンスを取り続けている。そこで、閣僚の中で唯一、布マスクを着けるという珍妙な光景が繰り広げられているわけです」(官邸担当記者)
 どうりで、閣議でも「アベノマスク」着用は総理ただ一人のみ。それどころか、肝心のクオリティについても佐藤氏が苦言を呈する。

「正直言って小さすぎて、自分では使えなかった。そこで小さなお子さんがいる方にでも使ってもらえればと、SNSで無料で譲渡することを申し出たのですが、今のところ誰も欲しがりません」

 しょせん、「アベノミクス」もこのアベノマスクよろしく、国民不在の財務省との妥協の産物だったのかもしれない。

「ロックダウンを行ったアメリカは、4〜6月期の経済は過去最大のマイナス成長になることが予想されます。もちろん日本への影響も避けられず、倒産・失業者が増えることになります。たとえコロナが終息しても、商店街は空き家だらけ、ホームレスが激増することは避けられないでしょう」(前出・佐藤氏)

 株価こそ、5月8日に再び2万円を回復したが、安倍政権に対する庶民の期待はもはや再び回復することはなさそうだ。

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