サッカー元日本代表で現在はブラジルのボタフォゴに所属する本田圭佑が、日本サッカーの指導者ライセンス制度に苦言を呈し、注目を集めている。
本田は音声による定額配信サービス「Now Voice」(ナウボイス)を通じて、サッカーの指導者にプロライセンスはいらない、誰もが監督になれるべきと主張。選手たちにも制度撤廃に動くべきだと訴えた。5月13日にもツイッターで「プロの指導者にライセンスは必須ではない。任意にすればいい」とつぶやいている。
これにサッカーファンから賛否両論の声が上がった。どちらかというと「本田は黙ってりゃいいのに」「自分がライセンス取得のための勉強をしたくないだけでは」と否定的な声のほうが多いようだ。
そもそも日本の指導者ライセンス制度とは何なのか。
「日本サッカー協会が認定するサッカー指導者の資格です。日本でサッカーの指導者になりたければ、ライセンスを取得しなければいけません。Jリーグのトップチームの監督になるには、ライセンスの最上位にあたる『公認S級コーチ』が必要です」(サッカーライター)
11年にはG大阪の来季監督に内定した元日本代表の呂比須ワグナーがS級ライセンスを持っていないことを理由に、監督として認められなかったことがある。S級を取得するのは難しく、Jリーグの監督への道を狭めているのは事実だ。本田の主張が正しいように思える。
「なぜこのライセンス制度が生まれたのか振り返ってみましょう。制度が誕生したのはJリーグが始まった93年です。この頃、日本サッカーの指導体系は整っておらず、指導者がそれぞれ独自の指導をしていました。そのため、選手のレベルはバラバラ。今なら小学生でも知っている基礎を知らない選手もいたんです。それでは日本サッカーの強化につながらないということで、指導者を指導することにした。それがライセンス制度です」(前出・サッカーライター)
ライセンス制度の誕生で日本サッカーの底上げがなされ、日本はレベルアップを果たした。だが、近年はその役割を終えたという指摘も少なくない。
「日本全国どこでも基本的には同じ指導をしているので選手が画一化し、個性的な選手が生まれないという弊害が出ました。本田の言うようにライセンス制度を廃止にするというのは考えものですが、見直す必要があるのは確かです」(前出・サッカーライター)
本田圭佑の主張は正しいのかどうか。指導者ライセンスについて議論する必要があることは間違いない。