《コロナで仕事を失った方、仕事あります!》
新型コロナウイルスの感染拡大で仕事を失う人が相次ぐ中、ツイッターでは振り込め詐欺などに加担する“闇バイト”に勧誘する、こうした書き込みが目立つようになっている。
イベント会社で勤務していた40代の男性は4月から雇止めに会い、ネットで求人を探したものの、
「数社に応募したのですが、いずれも“コロナの影響で募集を打ち切った”と言われ、家賃の支払いはおろか生活費にも事欠くような状態で……」
5月初旬《仕事がない。コロナで死ぬか生活苦で死ぬか!今すぐ仕事がほしい!》とツイートすると、すぐに返信が10件ほどあったという。
「すぐにメッセージを送ると、『テレグラム』というSNSに誘導されて、そこではじめて仕事内容が振り込み詐欺の『受け子』、『出し子』、『たたき』(強盗の意)だということを知らされたんです」
男性に提示されたバイト代は「受け・出し」の場合で、平均で10万円〜、たたきは50万円〜とされ、事前面談と顔写真のついた身分証の提示を求められたという。
「“仕事”の日はスーツ着用で移動はすべてタクシー。使った交通費は全額返還するということでした。正直迷いましたが、やはり犯罪に手は染めたくなかったので面接には行きませんでした」
SNSにおける犯罪事情に詳しいITジャーナリストによれば、「テレグラムは機密性の高い通信アプリのことで、これを使えば通話先・通話元を特定できないため、多くの詐欺集団が連絡のやり取りに使っています。ただ、なかにはメールでやり取りをしただけで、脅迫され拒否できないケースもあるので、間違ってもこの手の募集に手を出さないこと」だという。
さらに、昨今では「少しでも生活費の足しに」と自分の休眠口座を売ってしまう、という人も増えているのだとか。
「当然のことですが、自分名義の銀行口座を売ることは犯罪です。買い取られた口座は振り込め詐欺などの『特殊詐欺の振込先』に使われ、詐欺集団が逮捕された場合、詐欺に使われた口座は凍結されてしまいます。そして、その情報は銀行の情報ネットワークに登録されるため、今後どこの銀行にいっても新規口座開設ができなくなってしまう。つまり、口座を売って3万程度を得ても、その代償はあまりにも大きいということです」(前出・ITジャーナリスト)
休業要請が長期化すれば、6月以降の給与や賞与が大きく減少、さらには失業者も急増することは間違いない。だが、闇バイトに一度手を染めたが最後、その後の人生が破綻する危険があることも忘れてはならない。
(灯倫太郎)