米シネコン大手が“新作配信”に猛反発「ユニバーサル作品は一切上映しない」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響でアメリカほぼすべての映画館が閉鎖される中、米ユニバーサル・ピクチャーズは劇場未公開の新作映画をネット上で配信し、3週間で1億ドル超えの大ヒットを記録。同社は今後も新作映画のネット配信を続けることを示唆しており、“このままでは劇場で映画を観る時代は終わる”との指摘もある。

「ユニバーサルは、4月10日に全米で公開予定だったアニメ映画『トロールズ・ミュージック☆パワー(邦題)』を有料でネット配信しました。価格はアメリカの映画鑑賞料10ドルのほぼ倍にあたる19.99ドルと高めの料金設定ながら、外出制限中とあって家族で楽しむ視聴者も多く、大ヒットに繋がったとみられています」(映画ライター)

 これを受け、ソニーやパラマウント・ピクチャーズ、ワーナー・ブラザースなども続々と新作映画のネット配信をスタートさせた。しかし、これまで映画会社と映画館の間では、劇場公開から90日間はオンライン配信など家庭で観られるようにしてはならないとの取り決めがあり、アメリカ最大手のシネコンAMCシアターズは今後もネット配信を行うことを示唆したユニバーサルに対して、「今後一切の作品を上映しない」と宣言するなど軋轢を生んでいる。

「Netflixなど動画配信サービスが登場して以降、映画館は厳しい状況に置かれていましたが、映画会社が新作の劇場公開とネット配信を同タイミングで行うとなると、映画館の利用者が激減する可能性が非常に高い。ニューヨークなどでは今のところ15日でロックダウンが解除される予定ではありますが、今後もコロナが再流行する可能性は十分にあり得るため、映画館などクラスター感染を引き起こしやすい施設は利用者が増えづらい。今後は閉館する劇場も次々と出てくるのではないでしょうか」(経済ジャーナリスト)

 ただ、映画は劇場で観てこそ魅力が最大限に伝わるだけに、なんとか踏ん張って欲しいところだ。

(小林洋三)

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