体重が100キロを超すのが普通のブタで、40~100キロ未満のものを「ミニブタ」というそうだ。そして、生まれてまだ日の浅い赤ちゃんは手の平に乗ってしまうほどのミニサイズで、成長しても40キロを超えないようなさらに小さいブタ、これを「マイクロブタ」と呼ぶ。ペット関連産業は少子高齢化に逆行する形で拡大しつつあり、もはや1.5兆円産業とも言われる。そんなペット業界にあって、新たな人気者になるのでは、と注目を集めているのがこのマイクロブタだ。
丸っこくてほよよんと毛が生えたその姿が“インスタ映え”するので、ネット検索をすれば、なんとも愛らしい写真がたくさんヒットする。3月1日には東京目黒で日本初の「マイクロブタカフェ」もオープンした。このカフェをオープンさせたのが、日本初のマイクロブタ販売プロジェクトの「マイピッグ」だ。
アメリカやイギリスで一般的なペットになっているマイクロブタを日本でも飼えるようにしたいと、2年ほど前にプロジェクトはスタートした。これまでは個人輸入するしかなく、その場合は費用がとてもかさんだ。本場イギリスのブリーダーから買い付け、国内で繁殖させるためのファーム建設などで必要な資金をクラウドファンディングで募ったところ、200万円の目標を軽く超える倍以上の約470万円が集まり、販売体制が整った。購入はもろもろ込みで30万円ほど必要で、販売にあたっては責任をもって飼える人に限定しているが、予約多数で1年待ちの状態という。
さてマイクロブタくん、ペットとしてどんな特徴があるのか。
まず特徴的なのはその小ささだ。成長しても18~40キロほど、だいぶ個体差はあるが、それはエサやりやまめに運動させるなど、飼い主の心がけ次第のようだ。賢くてキレイ好き。トイレの場所はすぐ覚えるし、訓練をすればお手などもするという。サイズ感も含め、中~大型犬を飼うような感覚が一番近いらしい。毛が短いので、アレルギーが起こりにくいとも。
難点は、ブタを診れる獣医が限られること。また、飼育の届け出が自治体ごとに異なり個人で調べる必要がある。専用フードはまだないが、特別なエサが必要なわけではないので、その点は特に心配はいらないだろう。
寿命は10~15年なので、パートナーとして長く人生を共にすることも可能だ。古くは「三匹の子豚」やNHK人形劇の「ブーフーウー」、年代関係なくくまのプーさんの「ピグレット」など、ブタのキャラは愛されてきた。そのポテンシャルから、犬や猫に次ぐペットになる可能性もある。街中にマイクロブタを連れて散歩する人の姿を見る日も近いかもしれない。
(猫間滋)