“驚安の殿堂”を標榜する総合ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」が、新型コロナウイルス蔓延のなかでも攻めの姿勢を見せている。緊急事態宣言が発令された4月7日以降に、全国4カ所で新店をオープンさせるというのである。
「4店のうち富士吉原店、魚津店はリニューアルや買収したユニーの看板架け替え店であり、驚くにはあたりません。ただ4月23日にオープンする福島店は、福島市内に初出店となる完全な新規店舗。昨年1月に閉店した大型複合ビル『コマレオプラザ福島店』のビルを改修したもので、ドンキのほかに100円ショップやスーパーマーケットなど5店舗がテナントとして入居することになっています。新店オープンをアナウンスした4月8日にはまだ福島県は緊急事態宣言の対象外でしたが、16日から対象地域が全国に広がったので、営業スペースを縮小するなど、多少の影響は見られそうです」(週刊誌記者)
ネットでは「この時期に!?」と驚く声や「タイミングが悪かったね」と心配する声もある一方で、「行くところができてありがたい」という評価も。新店ゆえ従業員の新規雇用も多いはずで、地域経済のためにも開店を歓迎する声は少なくないようだ。そんな新店オープンは、いかにもドンキらしいというのである。
「ドン・キホーテでは2026年までに海外で100店の出店計画を2月に発表したばかり。その意欲的な目標に向けて3月31日には、タイで2店目となる『DON DON DONKI The Market 本店』をバンコクにオープンさせています。しかしタイでは3月26日に緊急事態宣言が発令され、ドンキの入る大型ショッピングモールでは、ほとんどのテナントが営業を休止。ドンキも閉店時間を午前1時から午後8時に短縮しましたが、そんな状況でも開店を断行するのがいかにもドンキらしいと言えそうです」(前出・週刊誌記者)
そのドン・キホーテでは、2020年度に売上高1兆円や店舗数500店などを目標にしていた「ビジョン2020」を1年前倒しで達成。それを受けて2月26日には、2030年をゴールに売上高3兆円と営業利益2000億円を目指す「Passion 2030」を発表したばかりだ。
「10年で2兆円の売上増を達成するには、19年度で693店だった店舗数を大幅に増やすのは必定。仮に500店なら年50店が必要となりますから、出店ペースを遅らせるわけにはいかないのでしょう。新型コロナの影響で出店計画に遅れが出ている可能性はあるものの、発表済みの新店オープンを続行するあたりは、ドンキらしい潔さの表れではないでしょうか」(前出・週刊誌記者)
そんな“お家事情”を抱えながらも、ドンキにはぜひ三密を意識しながらの営業をお願いしたいものだ。
(北野大知)