NPBも「無観客」でペナント開催!? 鍵を握る“経験者”がオリックスにいた

 4月8日、メジャーリーグ機構とメジャーリーグの選手会が、全30球団をアリゾナ州フェニックス近郊に集め、2020年の全試合を当地で開催することを検討していることが明らかになった。

 アリゾナ州といえば、今季も15球団がキャンプを実施し、オープン戦も開催。試合運営には問題はない。新型コロナウイルスの感染者数も約2500人と比較的少ないが、この提案には“弱点”があった。無観客試合である。

「アリゾナ州にも外出禁止令が出ています。試合を開催するとなれば、無観客試合は避けられません。ただ、メジャーリーグは無観客試合を経験しているので、その時の問題点を事前に整理し、解決策が見つかれば、早期に開幕戦の日程が決められるかもしれません」(米国人ライター)

 メジャーリーグの無観客試合は2015年4月。オリオールズが本拠地を置くメリーランド州ボルチモアで、警察に拘束された黒人男性が死亡した事件を巡り、一部市民が暴徒化。州知事が非常事態宣言を出し、オリオールズは予定していた本拠地での試合を中止としたが、3日目には「シーズンの日程を全て消化できなくなる」とし、無観客試合に踏み切ったのだ。

「その無観客試合で、オリオールズの4番を務めたのが今季からオリックスに移籍したアダム・ジョーンズです」(前出・米国人ライター)

 通常の試合と同じように、試合前の国歌斉唱、7回終了時のインターバルなどは行われたが、無観客という珍しさに大勢の記者団が集まり、周辺でのぞき見をするファンの対応などに球場スタッフはテンヤワンヤだったという。

「ブルペンの会話が相手ベンチまで聞こえたなんて報道も残っています。観客がいない分、集中力を持続できない選手も多かったそうです。7回のグラウンド整備以外にもインターバルを設けるなど工夫が必要でしょう」(特派記者)

 こうした無観客ならではのハプニングを事前に把握し、警備員の増員、スタッフの配置変更などの対策を取っておけば、実施できるかもしれないというのが、大リーグ機構と選手会の認識だ。

 米メディアも、無観客試合を経験した当時の選手たちの話を集め始めた。NPBもペナントレースの無観客化を否定していない。

 ここはひとつ、貴重な経験者であるジョーンズに話を聞いてみてはいかがだろう。

(スポーツライター・飯山満)

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