風評被害、生産停止…それでも「コロナビール」に追い風が吹く納得の理由

 コロナビールを製造するメキシコのビール大手グルポ・モデロ社は、メキシコ国内での新型コロナウイルス感染拡大を受けて、5日よりビールの生産を一時停止することを発表し、世界各国から称賛の声が相次いでいる。

「米CNNが2月末におこなったアンケート調査によれば、新型コロナの影響でコロナビールを“絶対に買わない”と解答した人が38%にのぼるなど風評被害が問題視されていました。ただし、今回生産を一時停止したのはその風評被害によるものではなく、『生活に不可欠な産業以外は活動を停止するように』と求めたメキシコ政府の意向に沿ったものだといいます」(エンタメ誌記者)

 4月2日までにメキシコでの新型コロナ感染者数は1510人にのぼり、政府は非常事態宣言を出して全国民に4月いっぱいまでの外出自粛を命じていた。グルポ・モデロ社は「ビールは業界の重要な要素の1つであり、輸出用の主要な農産品である」と生活に必要不可欠な産業であることをアピールしているが、政府の要請にはいち早く応じている。また、同社はビールの生産過程でできるアルコールを使用した殺菌ジェル30万個を寄付することを明らかにし、今後も新型コロナ対策に貢献していくという。

「こうした対応にSNS上では、《米メディアにも散々ネタにされていたにもかかわらず、ここへ来ての対応は素晴らしい》と一転して称賛を集めています。ちなみに、そのアメリカでは、3月の店頭での販売数はむしろ伸びていたとも報じられており、同社にとってはネタにされたことがプラスに働いていた状況が窺えます。今回の生産停止は残念ですが、再開した暁には、さらに売り上げがアップする可能性もありますね」(経済ジャーナリスト)

 むしろコロナビールには追い風が吹いているのかもしれない。

(小林洋三)

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