3月30日、リオネル・メッシらを始めとするスペイン1部リーグ・バルセロナの選手たちが声明を発表した。「自分たちの給与を70%カットする。リーグ戦が中断している間、クラブのスタッフが100%の給与を受け取れるように」というものだ。
新型コロナウイルスの感染拡大で、欧州各地のサッカーリーグも再開のめどが立っていない。スペイン紙・マルカによると、この決断でクラブは「ひと月3200万ユーロ」が浮いた計算だという。日本円にして37億円強だ。年間で約1億ユーロを稼ぐと言われるメッシだからできた決断だが、欧州のサッカーファンは好意的に受け止めていた。これを受けて出てきたのが、「メジャーリーグはどう出るか」という声だ。
「メジャーの選手会と機構側も話し合いを続けており、選手側から球場スタッフを救済するために寄付を行うプランが発表されました。しかし、給与カットに関する話にまではいたっていません」(特派記者)
メジャーでは「開幕戦が7月にずれ込む」との見方もあり、そうなった場合、通常の162試合は消化できないだろう。「1994年のストライキがサンプルになる」との声も聞かれたが、今回の新型コロナウイルスとでは事情が異なる。経営陣がSOSを出した場合、選手たちも柔軟に対応すると思われるが、メジャーリーグは代理人の発言が、何かと影響を及ぼしやすい世界なので、ひと悶着が起きるかもしれない。
「メジャーリーグの出方を見て、日本のプロ野球も対応を決めるようです。ペナントレースが始まらなければ、球団には一銭も入ってこないようなもの。近年、メジャーリーグは観客動員数を落としており、主な収入源はケーブルTV局による放映料になっています。日本は観戦チケットの売上げがメインになっていたので、ダメージは日本のほうが大きいかもしれません」(前出・特派記者)
メッシたちの決断に共鳴するファンは多いが、ほかのスポーツも……と簡単にはいかないようだ。
(スポーツライター・飯山満)