ライオンズのユニフォームを着ての実戦登板は、14年ぶり。松坂大輔投手は、その感慨深い初のマウンドでは結果を出すことができなかった(2月25日)。
「この日は韓国・斗山との練習試合で、松坂は先発登板のチャンスをもらいました。数日前から伝えられ、調整も順調と思われていたのですが…。まだ開幕までは時間があるものの、ちょっと心配ですね」(スポーツ紙記者)
松坂は1イニングしか投げていない。先頭打者こそ抑えたものの、次打者には右翼手の頭上を超える三塁打を浴び、続く3番バッターに右翼ポールぎりぎりのフェアゾーンへの大飛球を打ち込まれた。
「しかも気になるのは、昨季、西武投手陣が打ち込まれたのと同じパターンだったことですよ。一度崩れると立ち直れず、そのまま連打を食らい続ける。松坂もか…との溜め息交じりの声も球団関係者から聞こえてきましたね」(前出・スポーツ紙記者)
昨季のチーム防御率はリーグワーストの4・35。総失点695も同様で、規定投球回数に到達した投手はゼロ。12球団トップの破壊力を誇る打線の力で連覇を果たしはしたが、投手陣全体が世代交代の時期にあることは確か。ただ、長打が一本出るとつるべ打ちにされる傾向については、「正捕手となった森友哉のリードにも原因があるのでは?」の声も囁かれている。奇しくも、この松坂が先発した日のスタメンマスクは森。森は「全体的にボールが高かった」とし、「きれいにアウトを取りにいこうとし過ぎないようにしたい」と反省の弁を述べていた。
「ベテランの松坂を取った理由として、西武首脳陣は若手のお手本の意味もあるとしています。首位打者のタイトルも獲得した森は打線から外せず、かといって今のチーム事情では指名打者や一塁にまわすこともできない。そんな中、経験豊富な松坂に捕手・森を育ててもらおうという意図もあると思いますよ」(球界関係者)
80年代の西武黄金期、ベテランの東尾修が捕手・伊東勤を鍛え上げ、その伊東が工藤公康、渡辺久信といった投手たちと切磋琢磨していった。ベテラン投手が若い捕手を導くこともある。松坂個人の調子を上げることも大事だが、その前にやらなければならないのは、正捕手・森とのコミュニケーションを深めることだろう。
(スポーツライター・飯山満)