アメリカのFCシンシナティが1月9日、ベルギーのヘントから元日本代表FW久保裕也を完全移籍で獲得したことを発表。その“特別待遇“での契約に注目と期待が集まっている。
すでにクラブによるメディカルチェックを終えている久保はシンシナティを新天地に選んだ理由として、自身への興味や野望に満ちたチームプロジェクトをしっかりと示してくれた点を挙げ、「成長過程のアメリカで自分も一層の成長をしたいと思えた」ともコメント。初参戦となるメジャーリーグ・サッカー(MLB)での目標には「10ゴール10アシスト」を掲げ、出場機会を与えられずに苦しんでいたベルギー時代からの完全復活を誓った。
「チームがしっかりした興味を持ってくれた」と久保が話している通り、シンシナティは“特別指定選手“枠で久保と契約。3年契約に1年の延長オプションを加え、エースナンバーである背番号「7」を与えたことから、久保獲得への本気度が窺える。
「“特別指定選手“とは、MLBに加盟するクラブが年俸総額の上限制度を度外視してまで獲得したい場合にのみ適用する特別規定で、リーグに定められたサラリーキャップの範囲外で契約できるいわば“特別ルール“です。元々は2007年にレアル・マドリードからやってきた超高給取りの元イングランド代表MFデビッド・ベッカムを迎え入れる為に用意されたルールで、スーパースターを連れて来やすくする為の規制緩和でもあります。過去にはベッカムの他、アーセナルやバルセロナでプレーした元フランス代表FWティエリ・アンリなどもこの特別待遇でアメリカの地へ移籍してきましたが、今回そこに日本人として初めて久保裕也の名前も加わることになりました。2017年にクラブ史上最高額でヘントに加入した久保は1年目こそ大活躍し、“日本のメッシ“などと謳われていましたが、その後期限付きで加入したドイツ・ニュルンベルクでは怪我の影響もあり、期待された成績を残すことができず、失意のままベルギーへ戻っていました」(スポーツライター)
2018年からは日本代表招集の声もかからず、W杯が開催されたロシアへのチケットも逃していた久保だけに、まずはシンシナティで継続したプレータイムを確保することでかつての輝きを取り戻してほしいところだ。
(木村慎吾)