井口ロッテ、角中に一塁併用打診は「第2の鈴木大地」狙いか

 強制的なコンバートが行われるかもしれない。
 
 千葉ロッテの角中勝也外野手が契約更改に臨み、3000万円強のダウン提示ながら推定年俸1億円でサインした。角中といえば、今季は独立リーグ出身として初の1000本安打を達成。いまやチームの中心選手だが、来季はレギュラーポジションを喪失してしまうかもしれない。
 
「ソフトバンクから福田秀平をFAで獲得し、内外野のレギュラーが少し入れ代わりそうです」(スポーツ紙記者)

 井口資仁監督は早くも「2番左翼」での福田の起用を明言している。1番中堅・荻野との俊足コンビを売りにしたいとしていたが、そうなると、残りの外野のポジションは右翼だけ。19年途中加入で活躍したマーティンと角中のいずれかを外すことになる。鳥越裕介ヘッドコーチが内々に角中に「ファーストの練習をしてくれ」と打診したそうだが、角中はこれを拒否したという。

「角中に一塁を守らせるとしても、一塁には井口監督が4番を予定している井上晴哉がいます。井上か、角中のどちららかを指名打者で使うつもりなのでは」(同前)

 しかし、どちらかが指名打者になるという単純な話ではなさそうだ。

「外野での出場も多い平沢大河は内野で使ってもらえるように必死に努力しています。内野手には、二軍で力をつけてきた安田尚憲もいて、セカンドの中村奨、ショートの藤岡、サードのレアードもいます。来季のロッテはレギュラー争いが激しくなるのは必至です」(球界関係者)

 つまり、このレギュラー争いと直接関係のない外野の一角で福田を使うということは、レギュラーを約束したのも同じだ。同時に角中に一塁の併用を打診したのは、暗に「レギュラー落ちのピンチ」を伝えたことになる。

「19年の角中は打撃不振でしたが、まだできるという意見がもっぱら。でも、平沢、安田の成長次第では、一塁の井上を指名打者に回し、中村奨かレアード、マーティンの一塁も十分に考えられます」(同前)

 レギュラー争いの激化はチームの強化にもつながる。ファンにとってもそれは嬉しい限りだが、キャンプ、オープン戦でレギュラー争いの決着がつかない可能性のほうが強い。その場合、「試合前のスタメン発表まで守備位置が分からなかった」という“第2の鈴木大地”を生んでしまいそうだ。

 角中の外野一本宣言は、そんな便利屋稼業の拒否であり、ダメならスタメン落ちの決意表明でもあったようだ。いずれにせよ、誰かが“便利屋”にさせられそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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