この資格でナンボ稼げる?(49)ビジネスにも役立つ「日本の宿おもてなし検定」

 2020年の東京オリンピック、25年の大阪・関西万博開催を控えて、日本を訪れる外国人観光客が着実に増加しているようです。

 日本政府観光局によれば、19年1月〜10月の訪日客の累計は2691万4400人と、前年比で3.1%の伸びを示していました。

 特に外国の方が感銘を受けるのが、日本のおもてなし文化。旅館やホテルで受ける丁寧な接客やサービス精神に、心打たれる方は多いようですね。

 そこで今回、ご紹介するのが「日本の宿おもてなし検定」。旅館やホテルで働く際に必要な知識や技能のレベル、すなわち「おもてなし力」をはかる検定です。

 それでは、さっそく例題を見てみましょう。

〈問1〉おもてなしに大切な「5S」に含まれないのは、①親切、②スピード、③スマイル、④サプライズのうちどれ?

〈問2〉安土桃山時代の茶人・千利休は、お茶の基本の心構えであるおもてなしについて7つの心得にまとめました。その心得とは①利休七礼、②利休七令、③利休七則、④利休七心のうちどれ?

 この検定はパソコンを使ってインターネット上で受検できることもあって、日本のおもてなし文化を学ぼうと、毎年多くの外国人留学生が挑戦し、今年は台湾の2つの大学から51人が受検したそうです。例題の答えは〈問1〉が④、〈問2〉が③となっています。

 私は中級に合格していますが、初級については比較的簡単に合格できるのではないでしょうか。

 歴史上の偉人や成功者の多くが客人へのおもてなしに重きを置いていました。

 例えば織田信長。「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」の句で知られているように、無骨な武将というイメージを抱く読者も多いと思いますが、実はおもてなしの達人でした。

 信長のもとを訪れた武田信玄の使者や京都の公家、イエズス会宣教師などに対して、豪華な料理をふるまい、西洋楽器を用いた演奏会も行われたようです。彼が天下を取れたのは、武力だけでなく、こうしたおもてなし力のたまものだったのかもしれません。

 私も出張や食事会などでサービスを受ける際、宿泊施設や飲食店などで想像以上のおもてなしを受けたら、「また来ようかな」という気持ちになりますね。

 このように、おもてなしはサービス業において重要な「付加価値」になっているのでしょう。

 また最近は、仲居さんやホテリエ(ホテルマン)の労働環境も変わってきて、フリーランスで活躍する方も出てきました。「あのホテルに行きたい」ではなく、「あの人のおもてなしを受けたい」というふうに、顧客側のニーズも微妙に変化しているのかもしれませんね。

 日本独自のおもてなし精神は、接待などさまざまなビジネスシーンで役立つはず。一度チャレンジしてみては?

鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は600

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