日本のバスケットボールファンが歓喜だ。世界最高峰のプロリーグである米NBAが3月5日、来季2019〜2020シーズンのプレシーズンゲームを日本で開催すると発表した。トロント・ラプターズとヒューストン・ロケッツが10月8日と10日に、さいたまスーパーアリーナで対戦するもので、日本でNBAの試合が開催されるのは03年以来、16年ぶりとなる。
同日の記者会見には元NBA選手の田臥勇太に加え、楽天の三木谷浩史会長兼社長が出席。三木谷氏は「スポーツエンターテインメントとしての完成度はNBAが世界一だと思っている」と自信を見せていたが、実はその姿を苦々しく思っているバスケファンが少なくないというのだ。スポーツライターが耳打ちする。
「楽天は17〜18シーズンからの5年間にわたってNBAと、日本国内での独占的な放送・配信契約を締結。総額で約254億円という大型契約となりました。ところがこの契約がネックになって、NHKのNBA中継が消滅してしまったのです。というのもこの契約に従うと、日本国内の放送事業者は楽天に放送権料を支払う必要があります。しかし公共放送のNHKでは国内の民間企業に対して便宜供与することはできないので、必然的にNBAの放送契約を結ぶこともできなくなってしまいました」
NHKではかつて、NBAの試合中継を衛星放送のBS1などで放送していたほか、NHK総合でも月に一度「NBAマガジン」を放送していたが、それも16〜17シーズンを最後に終わっている。
だが、サッカーのJリーグもイギリスのDAZNと同様の独占的放送契約を結んでいるが、NHKでは以前と変わらず試合中継を行っている。この違いはいったいどういうわけなのか?スポーツライターが続ける。
「DAZNはネット配信に注力しており、Jリーグとの契約ではネット・モバイル通信やCATVでの放送権を締結。一方で地上波については契約外となっており、NHKや民放各社では従来通り、Jリーグ中継が可能となっています。楽天とNBAの契約でもテレビ業界からは同様の形が望まれていたのですが、独占契約にこだわった楽天は地上波放送も含んだ包括契約を締結。それゆえ今後、日本代表選手で米ゴンザガ大学の八村塁がプロ入りした場合でも、NHKでは試合中継を行わない可能性が高いのです」
NHKとは異なり、CMスポンサーとしての楽天と契約している民放各社では、楽天に放送権料を支払っての試合中継が可能だ。だがファンとしてはやはり、日本津々浦々まで放送網を広げているNHKで、八村の活躍を観たいのではないだろうか。