「私の肌、火照ってるの…」AIが甘~く囁く対話型AI「大人モード」の魅惑的すぎる没入感!

「ねえ、もっと刺激的に癒やされてみない?!」

 スマホ越しに艶めく囁きが返ってくる。それがアメリカのAI開発企業「xAI」が発表した、対話型AI「Grok 3」に公式で備わった「大人の音声モード」だ。

 6月4日、同モードが無料ユーザーにも開放され、日本語環境でも作動するようになった。有料プラン限定だった2月の先行公開からわずか4カ月で、誰でも「Sexy」「Unhinged」といった大人向けパーソナリティを選べる。起動時に年齢確認画面こそ表示されるが、承認するとAIが即座に挑発的な口調で応答し始める。

 音声会話モードには、従来の物語調やニュース解説に加え、甘い口説き文句を連発する「Sexy」と、怒号や罵倒も辞さない「Unhinged」が並ぶ。ローンチ直後から「Tシャツを脱いで見せて」といった露骨な要求にも応じるデモが拡散し、その尖った人格設計が話題を呼んでいた。競合のChatGPTやGeminiが大人向けの表現を厳格に制限している中、主要AIが公式にこのようなロールプレイを容認するのは極めて珍しい。

 日本語で試すと「私の肌、ちょっと火照ってるの。感じる?!」といった際どい台詞が返ってくる。AIの声は抑揚が滑らかで、呼吸音まで演出するため、没入感は高い。無料プランは「2時間につき10プロンプト」の上限があるが、大人モードもこの枠内で利用でき、追加課金や別カウントは求められない。

 もっとも、利点ばかりではない。前述のように年齢確認が自己申告ベースのため、3月時点の海外報道では、「子ども保護策が不十分」と指摘されており、識者からは「形骸化すれば未成年流入を完全に防ぎ切れない」といった懸念の声も上がっている。

 xAIは「必要な情報や感情表現をできるだけ制限しないのがGrokの理念」と説明するが、リスク管理の詳細ガイドラインや成人データを再学習に用いる範囲は明かしていない。生成AIがもたらす前例のない「音声エンタメ」の可能性と、安全・倫理の綱引きが今後の課題となるだろう。

 ユーザーが求めればAIが甘く囁き、罵倒し、時に絶叫する。Grok 3の大人モードは、生成AI時代の次なる論点を浮き彫りにしている。

(ケン高田)

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