スカイライナーとはここが違う!京成電鉄が導入する成田空港直結「新有料特急」最大の利点

 インバウンドの急増によって、東京~成田空港間の交通需要がかつてないほど高まる中、京成電鉄は現行の「スカイライナー」に加え、押上駅と成田空港を結ぶ新たな有料特急を導入すると発表した。観光客の利便性向上と混雑緩和を狙うというが、従来の「スカイライナー」「成田エクスプレス」「リムジンバス」などと比べ、何が違うのか

 スカイライナーは、京成上野駅と成田空港を最速36分で結ぶ速達性が最大の魅力。片道運賃は約2580円(磁気乗車券)で、浅草・上野エリアを訪れる外国人観光客にとってもおなじみの移動手段となっている。これに対し、JR東日本の成田エクスプレスは、東京駅発着で所要時間は最速約54分、運賃は3070円(指定席料金)とやや高めだが、都心の主要ターミナルから乗り換えなしで空港へ直結する点が評価されている。

 一方、成田空港リムジンバスは、東京駅や新宿、渋谷、横浜などのターミナルを経由し、予約制で運行される。所要時間は交通状況によって90~120分、料金は片道3100円~3200円程度だ。渋滞に巻き込まれると遅延のリスクがあるものの、大きな荷物を抱えたまま駅を歩かずに乗降できる安心感がある。

 他にも、京成本線と東京都心の地下鉄を組み合わせる方法があり、京成高砂や日暮里で乗り換えれば、上野・押上方面へアクセスできる。ただ、乗り換え回数が増えると荷物の多い旅行者には負担となるかもしれない。また、格安志向なら、東京・千葉エリアと成田空港を結ぶ高速バス(片道約1500円)もあるが、所要時間は約60~80分を想定すべきだ。

 これらの既存手段と比較すると、京成の新有料特急の最大の特徴は「押上駅を起点にする点」にある。押上駅は東京スカイツリーと浅草エリアへのアクセス拠点であり、国内外の観光客が多く利用する。押上~成田空港を直結することで、浅草周辺での宿泊や、観光を終えた旅行者が、乗り換えなしで空港へ向かえるため、移動が楽になることが期待されている。

 この新有料特急のもう1つの大きな利点は「混雑緩和」。訪日観光客は今後も増加傾向にあり、現行のスカイライナーやアクセス特急では、ピーク時に指定席が取りにくく、荷物置き場も不足しがちだ。新有料特急を導入することで、上野駅周辺に集中していた利用者を押上ルートへ分散させ、旅客のストレスを軽減しつつ輸送力を底上げする狙いがある。

 運賃はスカイライナーと大きく変わらないようで、押上から成田空港までの所要時間は約40~45分。浅草線には乗り入れず押上駅で折り返すダイヤになる見込みだ。

 運行開始は2028年度の予定。成田空港アクセスが一層便利、快適になることが期待されている。

(ケン高田)

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