マリナーズとマイナー契約を結び、オープン戦に招待選手として出場するイチローが1日、ブルワーズ戦に「7番・右翼」でスタメン出場。8打席ぶりとなるヒットを放った。調子は上向きのようだが、日本開幕戦出場後に引退するという憶測は、未だにくすぶっている。
「イチローがメジャーにこだわる気持ちは揺るがない。日本帰還を都落ちのように捉えているのかもしれませんね」(特派記者)
見方を変えれば、大義名分があればイチローのNPB復帰が叶うのではないかと期待する声もある。奇しくも、古巣・オリックスは厳しいシーズンを迎えそうだ。金子、中島、西といった看板選手がいなくなり、18-19年オフは目立った補強も行っていない。開幕投手候補が来日2年目のアルバースで、あとの話題は昨季頭角を表した山本由伸の先発転向くらいでは興行的にも危うい状況だ。
その古巣を救うためであれば、イチローのメジャーでの実績にも傷は付かない、というわけだ。
「今のオリックスは若手にチャンスがあるとも言えますが、明るい話題が少なすぎます。オリックスはイチローが帰国する際、チームの練習施設を自由に使えるよう、これまで各方面に骨を折ってきました」(在阪記者)
NPB所属選手以外は、オフの期間はその施設を利用できないルールがある。野茂英雄の時代から日本人メジャーリーガーが年末年始に帰国しても、早々にアメリカに行ってしまうのは、そのためだった。オリックスはイチローに苦労をさせないように配慮を続けてきたという。そんな古巣からSOSが届けば、無下にはできないだろう。
「現実的な話をすれば、イチローは日本での開幕2連戦後、マイナーに戻る可能性が高い。マイナーと古巣、どちらを選ぶのか?気になるところです」(前出・特派記者)
昨季に着任した会長付特別補佐の肩書だが、マリナーズはレジェンドに対する敬意として、イチローの意志で退団しても、その後、チーム復帰の要望があれば認めるとの条項もつけたそうだ。この点でも、「再びメジャーリーグを目指すため、古巣で調整」という大義名分が立ちそうだ。
本人は望まないかもしれないが、わずかな間でも日本でプレーする姿を見たいファンは多いだろう。
(スポーツライター・飯島満)