サッカーJ3参戦5季目で、J2初昇格を決めたFC今治。クラブオーナーは日本代表を2度、W杯に導いた岡田武史会長が務める。昇格決定の瞬間を見た岡田会長は「正直ホッとした」と安堵した表情だった。
岡田会長は2014年に今治のクラブ株式を51%取得してクラブの社長となり、「2025年にはJ1優勝」を公約に掲げたスタートとなったが、紆余曲折の連続だった。2度にわたる代表監督はともに途中からの就任で「代表はいつでも辞めてやる!と開き直れたが、今治はそういうわけにはいかない重圧があった」と言うのは本人の偽らざる本音だろう。
「岡田さんの肝煎りで今治に昨年1月、総工費40億円をかけて本拠地スタジアムを建設した。スポンサーや自治体などにいっさい頼らない民設民営のスタジアムはJリーグでも極めて異例で、40億円は岡田さんが自前で調達している。よく我々に『お前らに40億の借金ができる度胸があるのか!』と言っていましたよ」(サッカー担当記者)
自身が永久契約をしていたスポーツメーカーを離れ、条件の良いメーカーと契約し直すなど金策の日々となったわけだが、J2に昇格したとてその状況は変わらない。
「10年かかったとはいえ、地域リーグからJ2まで昇格させた岡田会長の力量はさすがですが、それだけ選手の契約金も上がることになる。年間予算が3~5億円で賄えるJ3とは違い、J2となると平均で15億円以上の予算を確保しなければ、すぐにJ3降格の危機に見舞われます」
総本山のサッカー協会の副会長として役職もある岡田会長だが、来季が始まるまで、これまで以上に金策に奔走する日々となるのは確実だ。
(小田龍司)