プロ野球・日本ハムが好調だ。その原動力となっているのが清宮幸太郎である。8月22日のロッテ戦では5試合連続となる「4番」を務め、佐々木朗希から3安打2打点。チーも3-4で勝利し、3連勝に貢献した。
清宮の月間打率は7月が3割8分3厘、22日終了時点で8月も3割超えと好調をキープしている。
「その清宮を4番に抜擢したのは他ならぬ新庄(剛志)監督ですが、今季は開幕前から『清宮くんは何があっても絶対に褒めません』と宣言してダメ出しを続けています。この日の活躍を振り返った際も、1打席目の安打後のホームへのスライディングについて言及し、『左膝に違和感が出たと言っていた。怪我の功名。それだけ』としている。つまり、下半身の力みから凡打を繰り返す悪癖をしっかり分析した上でのダメ出しというわけです」(夕刊紙記者)
それでもいよいよ覚醒の雰囲気が漂ってきた清宮だが、2017年のドラフト会議では7球団競合で日ハムに入団するも、泣かず飛ばす。育成に悩んだ当時の栗山英樹監督は19年オフに小笠原道大氏を1軍ヘッドコーチ兼打撃コーチとして招聘し、清宮の育成を任せた。しかし20年シーズンは打率1割台、本塁打も7本に終わり、21年に至っては1軍出場さえなかった。
「そんな打っても響かなかった清宮の現在の好調の要因には、もちろん新庄監督の操縦術もありますが、稲葉(篤紀)2軍監督の指導があります。清宮は今季、自主トレで左足首を捻挫して2軍スタートでしたが、『一番悔しいのは本人』と稲葉監督がメンタル面においてもケアしたことで、腐らずに精神的な粘り強さもついた。心身ともに大人に成長したことが大きいと思いますよ」(スポーツ紙日本ハム担当)
清宮の入団後に同じく高卒ドラ1で日ハムに入った吉田輝星投手は昨年オフにオリックスにトレードに出され、「次は清宮」との話があちこちから出ていたが、今は聞こえなくなった。パ・リーグの優勝は独走するソフトバンクでほぼ決まりだが、「4番清宮」が定着すれば、下剋上の空気へと一変するかもしれない。
(小田龍司)