スクウェア・エニックスHDは4月30日、2024年3月期に約221億円の特別損失を計上することを公表した。理由は「コンテンツ制作勘定の廃棄損」のためだという。
「この特損は、ひらたく言えば、ゲーム制作の見直しです。進行中だったゲーム開発を中止にするため、これまでにかかった制作費の221億円を特別損失として計上したのです」（経済部記者）
同社の主力コンテンツは言わずもがな、ファイナル・ファンタジー（FF）やドラゴンクエストなどの、いわゆる「ゲーム機向けタイトル」だ。だが、今後はこうした事業構造をあらため、タイトルの多様性とマーケティングを強化するのだという。
スクエニの方針転換にゲームファンの多くは賛成のようだが、一方で注目されているのが、「どのタイトルの開発を中止にしたのか」という点だという。
「中でも『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』が、予定通りリリースされるのかを不安視する声が高まっています。同タイトルのリリース発表があったのは21年5月。ドラクエと言えば、すぎやまこういちさんの音楽と、鳥山明さんのキャラクターデザインが欠かせませんが、シリーズ12作目は、亡くなられた両名が関わった最後のドラクエ作品だけに、ファンとしてはなんとしてもリリースして欲しいと切望しているのです」（ゲームライター）
ところが、同タイトルの発売について、情報は皆無に等しいという。
「ドラクエ生みの親の堀井雄二氏がⅫの制作を行っていることを明かしたとか、鳥山さんが亡くなった時の新聞記事で、『（スクエニが）開発を進める方針を明らかにした』と触れられている、などの情報が流れましたね。その一方で、開発のチーフプランナーが別のゲーム開発に異動したとか、今回の会社の動きを受けて、4月に開発の総責任者が交代したという情報もあり、ファンは一喜一憂している状況です」（前出・ライター）
1986年5月27日にシリーズ1作目が発売されたことにちなんで、毎年この日は「ドラクエの日」とされている。今年は37周年。27日になんらかの発表があるのか、ファンは固唾を飲んで待っている。
（猫間滋）
