「出前館」続く営業赤字でシワ寄せが行く配達員の苦境

 4月15日、デリバリーサービスの「出前館」が2024年8月期第2四半期(23年9月~24年2月)の連結決算を発表し、最終損益が42億円となり、同期としては6年連続での赤字となったことが分かった。

 決算短信によると、売上高は255億円で前年同期比で0.7%増となっているものの、営業損益は43億円の赤字となり、最終損益も42億円の赤字となっている。

「前年同期と比較して赤字幅は縮小しているものの、昨年12月からはテレビCMの全国放映を再開させているにもかかわらず、アクティブユーザー数は減少するなど、なかなか利用者が増えないもどかしい状況にあると言えるでしょう」(経済ライター)

 フードデリバリーサービスはコロナ禍の在宅需要を受けて急成長したが、22年には「フードパンダ」や「X TABEL」「ディディフード」などが相次いで撤退するなど需要は急速にしぼんでいる。出前館も22年第2四半期に878万人いたアクティブユーザーが、24年同期には579万人にまで大幅減少しており、右肩下がりが続いている。一方、間違いなくその煽りを一番受けているのがフードデリバリーの配達員だろう。

「コロナ禍には1カ月で100万円以上稼いだという配達員もいましたが、今は昔の話です。配達員の報酬単価は下がり続け、廃業する人も増えている。コロナも5類に移行し、テレビCMなどPRに力を入れても利用者が増えないとなると、配達員としても旨味はないですし、今後は人件費の良い他業種へ乗り換えるという人もさらに増えるのでは。残った配達員は報酬がさらに減少する中で仕事量は増え、サービスの質が落ちていくことも予想される。フードデリバリー業界はなかなか負の連鎖が抜けられないのかもしれません」(経営コンサルタント)

 出前館はすでに配送ロボットによるデリバリーサービスに参画しているが、その動きはよりいっそう加速しそうだ。

(小林洋三)

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