「フードパンダ」日本撤退が引き金に!? フードデリバリー衰退の可能性

 フードデリバリーサービス「フードパンダ」を展開するドイツのデリバリーヒーローは日本事業から撤退し、今年3月をメドに売却すると発表した。00年9月の日本参入からわずか1年半での撤退となるが、拡大を続けているフードデリバリー市場の衰退を指摘する声もある。

「テレビCMでもお馴染みのフードパンダは、飲食店のデリバリーの他にも20以上の都市で食品や日用品の配達にも対応していましたが、デリバリーヒーローのニクラス・エストベリCEOによると『フードデリバリー業界はライバルが乱立し、人員不足で配達員の確保も難しい状況になった』ことから日本事業を売却し、ドイツでも事業を縮小するといいます」(社会部記者)

 新型コロナウイルスの感染拡大によって需要が急増したフードデリバリー業界は、ICT総研の調査によれば18年には3631億円だった市場規模が、21年には1.5倍以上となる5678億円へ拡大しており、23年には6821億円へ達すると見込まれている。しかし一方で、「フードパンダ」だけではなく、NTTドコモの「dデリバリー」も今年6月でサービスを終了させるなど淘汰され、フードデリバリー自体も今後、衰退していく可能性は十分にあるという。

「日本のフードデリバリー業界では利用者数504万人の『出前館』と498万人の『UberEats』の2強となっていますが、両者も順風満帆というわけではなさそうです。出前館は売上高が過去最高を記録したものの、配達員の増強や広告宣伝費などがかさんで20年8月期の連結決算は最終損益が41億円の赤字を計上。また、『UberEats』も緊急事態宣言の解除以降は注文が激減しているとの情報もあり、Twitterでは配達員が2.7kmの配達料として100円が提示されたのを画像付きで投稿し、話題となっています。コロナ禍にフードデリバリーは非常に便利なサービスとして重宝されましたが、その一方で配達員のマナーや衛生問題、サポートの不備などでトラブルが相次ぎ、日本トレンドリサーチの調査によれば『今後もフードデリバリーを利用したいと思わない』と回答した人が33.5%にのぼっていたことも明らかになっているのです」(経済評論家)
 
 今後、オミクロン株の流行など再び緊急事態宣言が発令されれば需要はあると見られるが、このままコロナが落ち着いた場合、日本でのフードデリバリーは徐々に衰退していくのかもしれない。

(小林洋三)

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