「幸楽苑」は早くもスタートさせた「冷やし中華」の中国ではない“発祥の地”

 ラーメンチェーン「幸楽苑」は4月15日から夏季限定メニューとなる「冷やし中華」の販売を開始した。4月の中旬から下旬頃に全国の中華料理店などで「冷やし中華始めました」という貼り紙が出されるが、そもそも冷やし中華とはいつどこで始まったのか。

「その名前から中国から来たと思ってしまう『冷やし中華』ですが、日本発祥の日本料理と言われています。中国にも『涼拌麺(リャンパンメン)』という冷たい麺料理はありますが、水で洗ったり、タレに酢を使用することはなく別物ですからね」(フードライター)

 では日本のどこで生まれたかというと、諸説ある。ひとつは1930年頃に仙台の中華料理店「龍亭」が、暑い夏場でも客に来てもらおうと日本のざるそばをヒントに中華風のアレンジを加えた「涼拌麺」を売り出したという説。もうひとつは、東京・神田神保町にある「揚子江菜館」が33年に発売した「五色涼拌麺」を元祖とする説。こちらもざるそばからヒントを得ているそうで、もやしや細後入り肉を乗せて食べるスタイルは現在の冷やし中華のスタイルの元となっているとも言われている。

 さらには、京都にもルーツとされる「冷麺」を取り扱う店もあるが、グルメには同時期に同じようなメニューが各地で誕生することがよくあるため、発祥を特定することは難しい。

「どのように全国に広まっていったかというと、60年に仙台の『だい久製麺』が家庭用の冷やし中華『元祖だい久 冷やし中華』を販売し、これが大ヒットしたことで一気に知名度が上がったのです。それまでは涼拌麺や冷麺など様々な呼ばれ方をしていましたが、この商品がヒットしたことで、冷やし中華と呼ばれるのが主流となりました。62年には明星食品が『明星冷やし中華』を販売したことで、さらに冷やし中華という名前は全国的に広まることとなり、今では夏の風物詩になっているのです」(同)

 今年はすでに夏日を記録する日もあり、早くも冷やし中華が飛ぶように売れそうだ。

(小林洋三)

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