池上彰が「危ない中国」をズバリ解説(2)失業率20%超!大学卒業しても働き口なし…増える「専業子供」

池上 中国経済は非常に深刻な状態になっています。とりわけ、若い人は4人に1人が大学を出て、4人に1人は就職できない。失業率がもう20%を超えています。あまりに失業率が高いので数字を発表しなくなったほどです。

ーーそれはヒドい。今後、習近平体制への批判は高まるのでしょうか?

池上 いえいえ。批判すると捕まりますから。もちろん不満は持っています。中国は経済発展する中で、大学をたくさん作りました。その結果、大学卒業生が大量に生まれたのに、その学歴に見合う様々な産業が育っていません。結果的に大学を卒業しても望む就職ができないわけです。高卒で就職するのと同じようなところにしか行けない。今、中国の流行語が「専業子供」。就職せずちょっとバイトだけして親の家に居候する若者が増えているのです。

ーー「大学は出たけれど」という邦画がありましたが、中国人は銀座でブランド品を爆買いしているのばかりだと思っていました。

池上 確かに富裕層は日本に来てマンションなどを買い漁っています。でも、本当の金持ちはヨーロッパやアメリカに行っています。だから、洗練されてる金持ちの中国人は欧米に行くわけで、やっと生まれて初めて海外旅行に行くよう人たちが手近な日本に来たりするので、マナーが悪いわけですよ。ほら、1970年代に、日本の農家の人たちが土地を売って金が入って、生まれて初めての海外旅行でヨーロッパに行って、ステテコ姿でホテルの中を歩き回ったりしてたことがありましたよね。あれと同じ状況です。

ーー確かに。中国の日本人化なんですね。

(つづく)

池上彰:1950年、長野生まれ。73年NHK入局。94年より「週刊こどもニュース」を担当。05年に退局後は、フリージャーナリストとしてテレビ出演・執筆活動を続けるほか、名城大教授など複数大学で学生を指導。

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