100回目の節目を迎える今年の箱根駅伝。そのため、今大会では、昨年度上位10校と予選会を勝ち抜いた13校を合わせた全23チームが出場する。昨年の99回大会では、駒澤大学が2年ぶり8回目の総合優勝を達成したが、今回は史上5校目の学生駅伝三冠(出雲、全日本、箱根の大学3大駅伝で優勝)を成し遂げた駒澤を、どの大学が破るのかに注目が集まっている。
ライバルの筆頭は前回3位に沈んだ青山学院大学だ。青学は出雲駅伝は総合5位、全日本大学駅伝では総合2位で、シーズンを通して安定した成績を残している。一方、前回8位の創価大学は5年連続の出場となり、出雲駅伝では過去最高の総合2位に入るなど勢いがある。
また、出雲駅伝では総合3位、全日本大学駅伝は総合5位と、いずれも歴代最高成績を収めている城西大学には、今季の駅伝で区間賞を総なめにしているヴィクター・キムタイを擁しており、こちらも3位以内を狙う実力は充分にある。
もはやどの大学が表彰台に乗ってもおかしくないほど実力が拮抗する中、別の意味で注目を集めているのが、「江戸紫」のたすきの立教大学だ。立教は前回の予選会で6位となり、昨年は55年ぶりの本戦出場となった。往路は最下位に沈んだものの、復路では16位まで順位を上げ、総合18位でゴールした。チーム復活の立役者となった上野裕一郎監督はメディアからの取材が殺到するなど一躍時の人となった。ところが、2023年10月に一部週刊誌が、上野監督と陸上部女子部員が回転すし店やコンビニの店舗、駐車場のワンボックスカー車内などで親密にふるまう様子を写真付きで報じ、大騒動になってしまった。大学はその日のうちに上野監督の委嘱を取り消し、事実上の「解任」となったのだった。
上野前監督は中央大学で選手として箱根駅伝に4年連続で出場。実業団でも活躍し「スピードキング」の異名をとった。箱根への出場は関東学生陸上競技連盟加盟校の悲願だが、上野前監督はわずか4年でチームを導いており、その手腕に注目が集まっていたのだが…。
「そんな上野前監督が、車の後部座席で1時間にもわたり女性部員と『密着』していたというのですから、他の部員にとっては大きなショックだったでしょう。しかも、監督の解任は予選会の3日前でした。ただ、選手はむしろ団結し、彼らだけでエントリーメンバーを決めて総合6位で見事に本戦出場を決めました。チームの主力メンバーからは『眠れない夜もあった』という声も上がっており、葛藤を抱える中での戦いはいかに大変だったか容易に推察されます。本戦では前回大会以上の成績で雪辱を果たしたいところでしょう」(スポーツライター)
部を追われた上野前監督はその後、38歳ながら現役選手として実業団の佐賀県小城市に拠点がある実業団チーム「ひらまつ病院」への加入が伝えられている。スキャンダルを起こしたとはいえ、複数の実業団チームが上野前監督の知識と走力を評価したようだ。
第100回の優勝争いも気になるところだが、監督解任を乗りこえて立教のメンバーがどんな走りを見せるのか。「江戸紫」のたすきの行方にも注目したい。
(ケン高田)